Research Abstract |
任意の正の実数P_1…,P_sに対して,n次元複素ユークリッド空間C^n内の複素楕円体E=E(n;n_1,…,n_s;P_1,…,P_s)をE={(Z_1,…,Z_s)∈C^<n_1>×…×C^<n_s>|‖Z_1‖^<2P_1>+…+‖Z_s‖^<2P_s><1}と定義する.ただし,各n_jは自然数でn=n_1+…+n_sであり,‖・‖をユークリッドノルムとする。このとき,C^nの有界擬凸領域Dに対する基本予想「Dの正則自己同型群Aut(D)がノンコンパクトであるならば,Dはある複素楕円体Eに双正則同値である」の解決が我々の最終目標であり,その準備的研究として,与えられた有界擬凸領域DのAut(D)がノンコンパクトで,ある列{ψ_ν}⊂Aut(D)とある点k_0∈Dに対してψ_ν(k_0)→x_0∈∂Dとなっており,さらに点x_0の近くで∂Dがある複素楕円体Eの境界∂Eと一致する場合に,∂Dの構造を決定するのが本年度の研究目的であったが,このことに関連して,以下の結果を示し,Journ.of Korean Math.Soc.(2000)に印刷公表した:E=E(n;n_1,…,n_s;P_1,…,P_s)をn_i≧2(i=1,…,S)である複素楕円体とする.このとき,Eが球面型境界点x_0をもつのは,P_i=1(i=1,…,S)の場合,すなわちEがC^nの単位球体B^nの場合に限る.さらに,あるn_j=1の場合には,B^nと双正則同値ではなく,しかも球面型境界点x_0をもつ複素楕円体Eが存在する.なお,点x_0∈∂D⊂C^nがDの球面型境界点であるとは,点x_0の近くで∂Dが球面∂B^nの部分集合とCR同値のときである.
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