2000 Fiscal Year Annual Research Report
大きなパラメータを持つ高階線型常微分方程式のWKB解析
Project/Area Number |
12640195
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
青木 貴史 近畿大学, 理工学部, 教授 (80159285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田澤 新成 近畿大学, 理工学部, 教授 (80098657)
泉 脩藏 近畿大学, 理工学部, 教授 (80025410)
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Keywords | 高階微分方程式 / WKB解析 / 最急降下法 / ストークス現象 / ストークス曲線 / 積分表示 |
Research Abstract |
当研究では大きなパラメータを持つ高階線型常微分方程式の解の大域的挙動の解析を目標としているが、本年度はこの目的を達成するために必要な基礎的手法の開発に重点を置いて研究を行った。本年度得られた主な結果は次の通りである。 ・高階の方程式でも大きなパラメータが適切に入ってれば2階の場合と同様に完全WKB解を構成できる。その主要項は特性根の積分で与えられる。 ・変わり点、Stokes曲線といった基本概念が定義できる。 ・単純変わり点の近傍においては、その変わり点で一致する特性根に関するWKB解は同じ点を単純変わり点とする2階線型常微分方程式のWKB解となっている。従って単純変わり点の近傍での局所的解析はAiryの微分方程式に帰着できる。 ・微分作用素の係数が高々2次の多項式である場合はLaplace変換により2階線型微分方程式が得られるが、そのWKB解のBorel和を用いてもとの方程式の解の積分表示が得られる。その積分表示は通常の鞍点を通る最急降下曲線のみならずLaplace変換された方程式のStokes曲線と交わり注目している解がStokes現象を起こすたびに拾い込む解についての最急降下曲線を分岐させたものが必要となる。これを完全最急降下曲線という。上の意味で積分表示された、もとの方程式の解がStokes現象を起こすための必要十分条件は完全最急降下曲線が退化、すなわち他の鞍点とぶつかることであり、そのパターンの切り替わりを追跡することにより解析接続がわかる。
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[Publications] T.Aoki,T.Kawai,Y.Takei: "On the exact steepest descent method"Journal of Mathematical Physics. (発表予定).
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[Publications] 青木貴史,河合隆裕,竹井義次: "完全最急降下法を目指して"数理解析研究所講究録. 1168. 1-40 (2000)