2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640217
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
栄 伸一郎 横浜市立大学, 総合理学研究科, 助教授 (30201362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水町 徹 横浜市立大学, 総合理学研究科, 助教授 (60315827)
白石 高章 横浜市立大学, 総合理学研究科, 教授 (50143160)
藤井 一幸 横浜市立大学, 総合理学研究科, 教授 (00128084)
竹村 剛一 横浜市立大学, 総合理学研究科, 助手 (10326069)
柳田 英二 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80174548)
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Keywords | 反応拡散方程式 / パルス解 / 自己複製 / 粒子的反射 / 非線形発展方程式 / 中心多様体 / 弱い相互作用 |
Research Abstract |
これまでの研究では反応拡散型方程式系に現れる,パルス状に局在した解の運動を導出するための理論構築を主な目標としてきたが,空間次元が2次元までの問題に関してはいくつかの興味深い結果を得た.また当該年度においては導出だけでなく,導出された運動方程式自身の解析もその中心テーマの一つとして取り組んだ. 一般にパルス状に局在した解のある種の安定性が明らかになると,その運動はパルスの重心の位置のみによって表現されることはこれまでの研究によってかなり明らかになってきた.それの結果,複数のパルス状局在解が存在する場合,それらの運動をその重心のみを用いた質点系の常微分方程式系に特異極限として縮約することにより,パルス状解が形作る時空間パターンの詳細な解析が可能となる.その一例として,自己複製ダイナミクスと呼ばれる運動の分裂のメカニズムや粒子的反射現象の反射メカニズムの解析などを挙げることが出来る. 一方で縮約された常微分方程式系そのものが大変興味深い性質を持つことも明らかになってきた.例えば,水面上を運動する固形樟脳片の運動が2次元平面を運動する質点系の常微分方程式系に縮約されることが示されるが,その常微分方程式系の解析により,領域形状に依存して安定周期起動やカオス的軌道が現れることが分かってきた.実際,固形樟脳片の運動は壁に近づくと反射するという,いわゆるビリヤード的な運動をすることが理論的にも実験的にも知られていた.しかし,その運動の常微分方程式系が書き下されることにより,反射の際の入射角と反射角にある特徴的な性質があり,従来のビリヤード的な運動では決して現れなかった挙動が出現することが明らかになったのである.それが上にも述べた,安定な極限周期軌道の出現である.これに関しては現在のところ,領域形状が正方形か或いはそれに十分近い場合に対してのみ理論的に極限周期軌道の存在とその安定性が示されている.また,領域形状を長方形に限定して縦横の比を変化させていくと,周期倍分岐やカオス的挙動が観察されることが数値実験によって確かめられており,その理論的なメカニズムの解明に関しては今後の更なる研究が必要である. このように,単に縮約された方程式を抜き出すだけではなく,導出された方程式そのものの解析も大変重要である.今後の展開としては,高次元におけるパルス運動解析のための理論構築と,その導出された方程式の解析という両方を平行して行っていく予定である.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] S.-I.Ei: "The motion of weakly interacting pulses in reaction-diffusion systems"J.D.D.E.. 14(1). 85-137 (2002)
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[Publications] S.-I.Ei: "Dynamics of metastable localized patterns and its application to the interaction of spike solutions for the Gierer-Meinhardt systems in two spatial dimension"Japan J. Ind. Appl. Math.. 19(2). 181-226 (2002)
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[Publications] K.Fujii: "Introduction to Grassmann Manifolds and Quantum Computaiton"J.Appl.Math.. 2. 371-406 (2002)
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[Publications] T.Mizumachi: "Weak Interaction between solitary waves of the generalized KdV equation"SIAM J.Math.Anal.. (to appear).
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[Publications] E.Yanagida: "Mini-maximizers in reaction-diffusion systems with skew-gradient structure"J. Diff. Eqs.. 179. 311-335 (2002)
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[Publications] K.TAKEMURA: "Quasi-exact solvability of Inozemtsev models"J. Phys. A. 35. 8867-8881 (2002)
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[Publications] 柳田, 栄: "常微分方程式論"朝倉書店. 215 (2002)