2003 Fiscal Year Annual Research Report
実データシミュレーションによる太陽コロナ活動の機構解明
Project/Area Number |
12640236
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSIlY |
Principal Investigator |
草野 完也 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (70183796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 央明 東京大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00311184)
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Keywords | 太陽 / フレア / コロナ / MHD / シミュレーション / リコネクション / 磁気ヘリシティ / プラズマ |
Research Abstract |
本研究の最終年度にあたる今年度は、研究計画の第5段階「フレア発生メカニズム」の数値的研究を行い、その成果として「シア反転フレァモデル」と呼ばれる全く新しいフレア発生機構モデルを提案した。昨年度までの研究により、太陽活動領域に異符合の磁気ヘリシティが入射されることがコロナ活動を活発化させる原因であることをデータ解析より見出した。この結果に基づき、磁気シア反転過程の3次元数値シミュレーションを実施した。その結果、太陽フレアにみられる突発的なエネルギー解放過程を再現することができた。太陽表面におけるシア流によって形成された磁気シア反転層には強い層状電流が流れるため、複数のフーリエ成分が抵抗テアリングモードに対してまず不安定化する。それゆえ、電流層の急速なthinningが局所領域で進み、正と負のシアを持つ磁束間で磁気リコネクションが進行する。さらに、このリコネクションが継続すると磁気アーケードに沿った磁束の対消滅が進むため、アーケード構造がMHD平衡を保つことができずに内部崩壊し、初めのリコネクション点上空に新たな電流層が生成されて第2のリコネクションが発生する。ここで、第2のリコネクションからの下降放出流は第1のリコネクションの流入流となるため、2つのリコネクションは相互に相手を駆動し合い、エネルギー変換効率を急速に高める機構として働く。この結果として、第2のリコネクションが発生した後に、大規模なプラズモイド放出が発生する。これらのシミュレーション結果は、フレア予兆現象として知られるシグモイドの形成および、プレフレア期における発光現象など多くの観測結果を合理的に説明するものであり、フレア発生機構の新しいモデルとして注目されている。
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[Publications] 草野完也: "天体プラズマ現象における多階層シミュレーション研究の展望-太陽磁気リコネクション現象の多階層性とシミュレーション-"Journal of Plasma and Fusion Research. 79. 496-503 (2003)
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[Publications] T.Yokoyama: "Relation between Magnetic Helicity Injection and Flare Activities in Active Region NOAA8100"Advances in Space Research. 32. 1949-1952 (2003)
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[Publications] K.Kusano: "Annihilation of Magnetic Helicity : A New Model for Solar Flare Onset"Advances in Space Research. 32. 1931-1936 (2003)
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[Publications] K.Kusano: "Measurement of Magnetic Helicity Flux into the Solar Corona"Advances in Space Research. 32. 1917-1922 (2003)
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[Publications] J.Nakahara: "Simulation Study of Energy Conversion Process in Magnetohydrodynamic Turbulence Due to Magnetorotational Instability"Journal of the Physical Society of Japan. 73. 94-101 (2004)