2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640237
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
尾崎 洋二 長崎大学, 教育学部, 教授 (30011547)
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Keywords | 近接連星 / 降着円盤 / 激変星 / 矮新星 / 不安定性 / おおぐま座SU型星 |
Research Abstract |
本年度の研究は、おおぐま座SU型倭新星の爆発機構についてである。おおぐま座SU型矮新星は、スーパーアウトバースト(超爆発)と呼ばれる大きな爆発が起こることで特徴のある矮新星である。超爆発の起源については、私自身が1989年に提案した熱潮汐不安定モデル(略称TTIモデル)と伴星からの質量流入量が増加した結果とするモデル(略称EMTモデル)の二つが提案されており、最終的な決着に到っていない。そこで、これら二つのモデルについて比較、再検討した。特に、EMTモデルの根拠とされる矮新星の爆発時に伴星からの質量流入量が増加するという観測結果について再検討した。しかし、いずれの観測的根拠も不十分であることが示しされた。また、EMTモデルで想定されている、爆発の際に中心星および境界層からの放射で伴星が照射され、質量流入量が増加するというモデルについて考察を行った結果、円盤による遮蔽効果などを考えると、理論的にも質量流入量が増加するとは考えにくいことが明らかになった。 一方、TTIモデルに対する批判として、スーパーハンプ現象が爆発の初期に現れるはずであるが、実際には多くの場合、極大時より2、3日遅れて現れるという点が指摘されてきた。この批判に対して、TTIモデルに新たな改良を提案した。すなわち、超爆発の引きがねになる最後の通常の爆発で、降着円盤の外縁がまず潮汐半径まで膨張し円盤全体が高温状態になり、その後から3:1レゾナンスによる潮汐不安定性による離心楕円円盤が成長してくるという描像である。この改良を加えたTTIモデルでは、3:1レゾナンス半径と潮汐半径との相対的距離により、おおぐま座SU型の連星パラメータにより色々な光度曲線が可能で、例えばおおぐま座ER型矮新星では大振幅のスーパーハンプが増光中にも観測されるという事実をうまく説明できる。最後に、2001年に爆発したや座WZ星についてTTIモデルに基づく全体的描像を提案する。以上の研究は、ドイツのマックスプランク天体物理研究所Meyer氏との共同研究である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Osaki, F.Meyer: "Early Humps in WZ sge Stars"Astronomy & Astrophysics. 383. 574-579 (2002)
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[Publications] Y.Osaki, F.Meyer: "Is evidence for enhanced mass transfer during dwarf-nova outbursts well substantiated?"Astronomy & Astrophysics. (in press). (2003)