2000 Fiscal Year Annual Research Report
渦無し連星中性子星の準定常状態構造を求める一般相対論的数値計算法の研究
Project/Area Number |
12640255
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江里口 良治 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (80175231)
|
Keywords | 連星中性子星 / 準定常状態 / 一般相対論 / 渦無し流体 |
Research Abstract |
本年度は渦無し連星中性子星の問題を数値計算するための定式化を行うとともに、数値計算コードの効率化をおこなった。 渦無し連星中性子星を扱うために、conformally flatの仮定をおかないで、準定常状態のメトリックを使って速度ポテンシャルに対する方程式を導き、それに対する境界条件を確定した。その際、速度場の境界条件を精度よく適用するためには、連星中性子星の表面に沿った座標系を導入した。 数値計算法に関しては、予備的な計算法を更に効率化し、また適用範囲を広げるために、次のような手法を開発した。これまでの予備的な計算法では連星の「中心」を結ぶ線上にある「重心」を座標原点に取っていたが、原点付近のメトリックに発散傾向があり、それを抑えるために様々な工夫をこらす必要があった。それに対し、本年度は座標原点を「重心」からずらし、物質とメトリックの赤道面対称性を利用することで、座標特異性を扱わないで計算する手法を生みだした。この手法により、これまでの原点付近の特別な扱いをしなくて済むようになり、計算結果の信頼性を高めるとともにの効率化することに成功した。重力の強さを一定にした連星の角運動量を変化させる系列の計算結果によると、不安定が生じる前に連星が接触する状態に達する。これは、重力波を放出しながら進化するとき、不安定にならない可能性があることを意味する。 なお、一部の結果は、7月にイタリアで行われた国際会議で発表し世界の研究者と議論した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] K.Uryu et al.: "New numerical method for constructing quasi-equilibrium sequences of irrotational binary neutronstars in several relativety"physical Review. D61. 124023(1-19) (2000)
-
[Publications] K.Uryu et al.: "Properties of general relativity,irrotational binary neutron stars in close equilibrium orbits"Physical Review. D62. 104015(1-15) (2000)