2001 Fiscal Year Annual Research Report
カイラルクォーク模型によるバリオン及びバリオン間相互作用の研究
Project/Area Number |
12640290
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
清水 清孝 上智大学, 理工学部, 教授 (00143363)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 幸子 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 助教授 (90251503)
|
Keywords | カイラルクォーク模型 / クォーククラスター模型 / 逆散乱問題 / Diquark模型 |
Research Abstract |
構成クォーク模型を用いて、グルオン交換(OGEP)を重要視する模型と、カイラル対称性を尊重した「カイラルクォーク模型」の検討を行なった。特に成功を収めたと主張されているカイラルクォーク模型の中で、準相対論的な扱いに関して詳しい検討を行なった。 具体的にはカイラルクォーク模型にグルオン交換ポテンシャル(OGEP)を考慮した模型による、核子、Δやストレンジネスを含むバリオンなどSU(3)の8重項と10重項の基底状態およびs波とp波の励起状態の性質について検討し、準相対論的扱いと非相対論的扱いで行ない詳細を吟味した。模型としてDiquark模型と呼ばれる、従来仮定されてきた、完全対称な軌道部分の波動関数ではなく、いわゆる[21]対称性を持つ部分も考慮出来る模型で計算を進めた。このことにより、スピン・フレーバー部分の対称性も[21]を含むことになり、軌道部分の波動関数がスピン・フレーバーの量子数に依存する結果が得られた。またストレンジネスを含む系に対しては、ストレンジクォークの質量差を、運動エネルギー項にも考慮したより精密な計算を行った。基底状態についてはすでにPhysical Review誌に発表され、励起状態については現在論文をまとめている。 非相対論的なクォーク・クラスター模型を用いたバリオン・バリオン散乱について、詳細な検討を行った。特になぜ近距離で斥力的な振る舞いを示すかについて、ノルムが1より大きい場合と、非常に0に近い場合(ほとんど禁止状態)について、逆散乱問題を解くことによっていろいろな寄与を個別的に検討した。クォーク模型から得られるポテンシャルは非局所的である。それを局所化するために逆散乱問題を用いたが、それ以外の種々の方法の検討も詳細に行った。その結果、近距離の斥力を生じる原因が、ノルムとグルオン交換相互作用にあること、そしてどのようなチャンネルでどちらが重要なのか等について明確になった。これは共同研究者の竹内幸子氏との共著論文としてまとめ、現在投稿中である。
|