2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640308
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉岡 大二郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30114713)
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Keywords | 量子ホール効果 / 2次元電子系 / 強磁場 / 半導体 / ストライプ相 / 電荷密度波状態 / ウィグナー結晶 / 密度行列繰り込み群法 |
Research Abstract |
強磁場中の2次元電子系の一電子状態はランダウ準位を形成し,最低ランダウ準位が部分的に占有されている場合には分数量子ホール効果が出現するのに対して,高次のランダウ準位ではこの状態は実現しない.この高次のランダウ準位での基底状態を確定するために, 1.先ず,これまでの研究より詳細なハートリー・フォック近似での計算を行い,様々な電荷密度波状態に対する相図を各ランダウ準位について求め,ウィグナー結晶,バブル相,ストライプ相の存在を確認し相図を求めた. 2.ハートリー・フォック近似は最低ランダウ準位では正しい結果を与えないことから,信頼できる結果を得るために密度行列繰り込み群法を用いて,18電子までの系の基底状態を求めた.この結果,(1)相図はハートリー・フォック近似の結果とほぼ同じ結果が得られたが,3電子バブル相は存在しないという,重要な違いがあること,(2)ストライプ相と2電子バブル相の間も2電子バブル相とウィグナー結晶の間の相転移も1次転移であること,(3)ストライプ相は列方向には一様であること,(4)2電子バブル相は実験で見出されたリエントラント量子ホール効果相と同定できること,を明かにした.密度行列繰り込み群法での研究は柴田尚和助手との共同研究であるが,この方法は従来1次元系のみに適用されてきたもので,2次元系で信頼できる意味がある結果を得たのは本研究が世界で始めてである.少数の電子しか扱えない厳密対角化法では相転移の場所と次数はわからないし,3電子バブル相の可能性は排除できないのである. なお,本研究のうち,密度行列繰り込み群法での結果はPhysical Review Letters誌に投稿中であり,その他の部分は投稿準備中である.
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