2000 Fiscal Year Annual Research Report
重い電子系Ce化合物における非フェルミ液体状態の起源
Project/Area Number |
12640350
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 年史 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80207183)
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Keywords | Ce(Ru,Rh)_2Si_2 / スケーリング / 量子揺らぎ / Griffith相 / disorder / 非フェルミ液体 / 量子相転移 |
Research Abstract |
本年度研究実施計画に沿い (1)Ce(Ru_<1-x>Rh_x)_2Si_2の単結晶をx=0.4,0.5,0.6について作成した。 (2)希釈冷凍機温度領域での交流帯磁率測定装置を製作し、直流磁場下での交流帯磁率の測定を行えるようにした。現在50mK〜4.2Kの温度範囲で、0〜6T直流磁場下での測定が可能となった。磁化測定については現在製作中である。 直流磁場下の交流帯磁率χ(T,H)の測定から、x=0.5,0.6の試料では、極低温(T<1K)弱磁場下(H<0.1T)で、χ(T,H)=T^γf(H/T^δ)の形でスケールできることが分かった。しかしx=0.5とx=0.6でスケーリング指数γ,δの値が異なり、その原因は現在検討中である。しかしながら、過去に行った電気抵抗測定のデータと合わせて考えると、非フェルミ液体の出現機構を以下のように推測することが出来る。 本研究で測定を行っているCe(Ru_<1-x>Rh_x)_2Si_2はCeの基底状態は2重項でスピンはイジング性が強い。このことは単結晶の各軸方向の帯磁率、磁化測定から確認されている。またこの系はxの変化に対して近藤温度の変化が小さく我々が実験を行っているx=0.4,0.5,0.6の中間Rh濃度領域でも20K程度であると考えられている。最後にRh置換によるdisorderの効果が存在する。これらの特徴と今回我々が行った測定結果から、Ce(Ru_<1-x>Rh_x)_2Si_2x=0.5,0.6ではT=0Kに向かっての何らかの相転移が起こっており、この相は強い量子揺らぎを伴ったdisorder相(Griffith相)ではないかと考えている。 現在さらに測定を進めるとともに、disorderの効果が少ないとされるCeCu_<5.9>Au_<0.1>との比較実験を計画中である。
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[Publications] Y.Tabata: "Non-Fermi-Liguid Scaling in ce(Ru0.5Pn0.5)_2Si_2"Physical Review Letter. 86・3. 524-527 (2001)
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[Publications] Y.Tabata: "field effect on the non-Feriw liguid behavior in Ce(Ru0.5Ph0.5)_2Si_2"Journal of the Physical society of Japan. 69. 47-52 (2000)
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[Publications] T.Taniquchi: "Non-linear suoceptibilities of Ce (Ru0.5Rh0.5)_2Si_2 and CeGus5.9Au0.1"Physica. 8281&282. 349-350 (2000)