2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640357
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
坪田 誠 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10197759)
|
Keywords | 超流動ヘリウム / 量子渦 / 超流動乱流 / 渦格子 / Gross-Pitaevskii方程式 / 中性原子気体 / ボース凝縮 / コルモゴロフ則 |
Research Abstract |
超流動ヘリウムの物理は、超流体と常流体が混合する2流体モデルにより良く記述され、比較的高温域では、量子渦は常流体との相互摩擦により減衰することが知られている。近年、常流体が存在しない極低温領域での量子渦タングルの減衰が観測され、そこには高温域にない新たな物理があることが期待されている。本研究は、そのような極低温域における量子渦の運動を解明することを目的とする。以下、超流動液体ヘリウム、および近年特に注目されている中性原子気体ボースアインシュタイン凝縮系に関してられた成果を述べる。 超流動ヘリウム:常流体が存在しない場合の、量子渦糸タングルが作る超流動乱流状態のエネルギースペクトルを調べた。古典乱流の最も重要な統計則である、コルモゴロフの-5/3則が得られることがわかった。また、それに特徴的な渦のサイズ分布を考察し、数値シミュレーションで得られた量子渦糸タングルがそれに従うことを示した。これらは、量子渦糸から構成される超流動乱流が、理想的乱流系の舞台となる可能性を示唆している。 中性原子気体ボース凝縮系:フランス、アメリカグループの実験結果に関連して、ボース凝縮を特徴づける巨視的波動関数が従うGross-Pitaevskii方程式の数値解析を行い、捕獲ポテンシャルを回転させた場合の、凝縮体の四重極振動、表面不安定を介した量子渦の侵入と渦格子形成、といった一連の劇的なダイナミクスを見いだした。これらは実験結果をよく説明し、この系に特有な動的現象の解明し貢献した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] M.Tsubota, K.Kasamatsu, M.Ueda: "Vortex Lattice Formation in a Rotating Bose-Einstein Condensate"Physical Review A. 65. 023603 (2002)
-
[Publications] S.K.Nemirovskii, M.Tsubota, T.Araki: "Energy Spectrum of the Random Velocity Field Induced by a Gaussian Vortex Tangle in Hell"Journal of Low Temperature Physics. 126 3/4. 1535-1540 (2002)
-
[Publications] T.Araki, M.Tsubota, S.K.Nemirovskii: "Energy Spectrum of Vortex Tangle"Journal of Low Temperature Physics. 126 1/2. 303-308 (2002)
-
[Publications] K.Kasamatsu, M.Tsubota: "Vortex Generation in Cyclically coupled superfluids and the Kibble-Zureck mechanism"Journal of Low Temperature Physics. 126 1/2. 315-320 (2002)
-
[Publications] M.Tsubota, K.Kasamatsu, M.Ueda: "Vortex Nucleation and Array Formation in a Rotating Bose-Einstein Condensate"Journal of Low Temperature Physics. 126 1/2. 461-466 (2002)
-
[Publications] K.Kasamatsu, Y.Yasui, M.Tsubota: "Macroscopic quantum tunneling of two-component Bose-Einetein condensate"Physical Review A. 64. 053605 (2001)