2001 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導酸化物における電荷・スピンのダイナミクスのμSR研究及び高圧μSR開発
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12640364
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
渡邊 功雄 理化学研究所, ミュオン化学研究室, 先任研究員 (40260195)
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Keywords | 酸化物高温超電導体 / ミュオンスピン緩和法 / ストライプ相関 / 高圧μSR開発 |
Research Abstract |
(1)粉運超伝導体のSR研究 2001年度においては、La系高温超伝導酸化物のストライプの動的性質に関しての研究を行った。まず、ホール濃度がCu原子あたり1/8近傍において、Cuを非磁性不純物であるZnで置換した場合にストライプ相関がどのように安定化するかどうかを調べた。その結果、Zn濃度が1%程度のところで、動的に揺らいでいるストライプ相関が安定化することを見出した。更に、5%以上のZn濃度においては、ストライプ相関自体が破壊されることもあわせて見出した。次にホール濃度を更に幅広く変化させて、動的ストライプの安定化する兆候をμSRの緩和率の変化から捉えることを試みた。その結果、低ホール濃度領域においては、約140K近傍から動的ストライプの安定化が観測されることがわかった。ホル濃度を変化させて動揺の測定を行った結果、動的ストライプの安定化が観測されだす温度はホール濃度と共に低下し、ホール濃度がCu原子あたり1/8近傍においては約100Kを示し、最も超伝導転移点が高くなるようなホール濃度領域では観測されないことが判明した。これら特性温度のホール濃度変化は、Y系酸化物高温超伝導体でNMR測定から観測されているスピンギャップ温度のホール濃度依存性と非常によく似ており、La系でもスピンギャップの存在の可能性が示された。 (2)高圧μSR測定開発 2001年度においては、昨年度に設計した圧力セルの作成を行った。ベリリウム銅を用いてセル本体を作成した。セル壁の肉厚は、安全率を1と低く設定し、壁圧が極力薄くなってミュオンビームが透過しやすいように配慮した。来年度は、この圧力セルを用いて低温での圧力校正を行った後、実際にミュオンビームを当てることによってセルを用いた状態でのμSR信号強度の測定を行う予定である。また、最終的には高温超伝導体を用いた実際の測定を可能にすることを目指す。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yoji Koike: "Cu-Site-Substitution Effects on the 1/8 Anomaly in the High-Tc Cuprates and on the Anomaly at x=0.21 in"Int. J. Mod. Phys. B. 14. 3520-3529 (2001)
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[Publications] Yoji Koike: "Cu-Site-Substitution Effects on the 1/8 Anomaly in the High-Tc Cuprates and on the Anomaly at x=0.21 in La2-xSrxCuO4"Physica C. 357・360. 82-88 (2001)
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[Publications] Isao Watanabe: "μSR Study of Manqetic Properties of Nd2-xCexCuO4"Physica C. 357・360. 212-215 (2001)
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[Publications] Isao Watanabe: "μSR Study on the Spin Dynamics of High-Tc Oxides"Int. J. Mod. Phys. B. 14. 3741-3746 (2001)
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[Publications] Yoji Koike: "Impurity Effects on the Stripe in the La-214, Bi-2212 and Y-123 Phases"AIP Conference Proceedings. 554. 202-208 (2001)