2001 Fiscal Year Annual Research Report
再帰直交多項式展開によるグリーン関数の計算法とその応用
Project/Area Number |
12640376
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
田中 宏志 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (10284019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯高 敏晃 理化学研究所, 計算科学技術, 研究員 (60212700)
時弘 哲治 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (10163966)
伊藤 正樹 島根大学, 総合理工学部, 教授 (90184689)
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Keywords | 直交多項式展開法 / グリーン関数 / 不規則系 / オーダーN法 / 第一原理計算 / 誤差評価 |
Research Abstract |
巨大なハミルトニアン行列で記述される系において、そのグリーン関数を直交多項式で展開することで効率的に計算する新しい方法を開発した.この方法の特徴は,(1)ハミルトニアンを直接対角化する必要がない,(2)グリーン関数の対角成分のみならず非対角成分も計算できる,(3)グリーン関数とその他の演算子の積を評価できるため様々な物理量を計算できる,(4)離散的なスペクトルを持つ系にも適用できる,(5)固有値・固有ベクトルも1つのアルゴリズムで計算できる,(6)計算時間と必要なメモリー容量は,システムサイズに比例する所謂オーダーN法であるなどである. この方法を第一原理計算と組み合わせることで,巨大な不規則系における電子輸送現象などを第一原理計算に基づき理論的に解析することが可能となる.実際に我々は強結合LMTO法と組み合わせることで,bccFeや液体Feにこの方法を適用しその有用性を示した. また我々は,この方法を粒子源法や強制振動子法に代表される時間依存の方法と比較検討し,直交多項式展開法で得られるグリーン関数をエネルギー軸から時間軸へフーリエ変換することで時間発展演算子が得られることを確認した.また同時に,直交多項式展開された時間発展演算子は虚時間に解析接続が可能で温度グリーン関数にも拡張できることを示した.さらに我々は,直交多項式展開法と従来から用いられている連分数展開法やモーメント展開法との関係も明らかにした. 実際にこの方法を適用する場合には,直交多項式展開を有限で打ち切る必要がある.そこで我々は,この打ち切りによる誤差を評価し,この誤差は展開次数Nに関して反比例して安定に減少することを示した.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] W.Kunishima, M.Itoh, H.Tanaka: "A new method to calculate the Green function by polynomial expansion"Prog.Theor.Phys supplement. 138. 149-151 (2000)
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[Publications] W.Kunishima, M.Itoh, H.Tanaka: "Generalized polynomial expansion of Green's function with applications to electronic structure calculations"AIP Conference proceedings. 519. 350-351 (2000)
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[Publications] H.Tanaka, W.Kunishima, M.Itoh: "Efficient scheme to calculate the Green function by recursive polynomial expansion"Riken Review. 29. 20-24 (2000)
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[Publications] W.Kunishima, T.Tokihiro, H.Tanaka: "Error estimation of recursive orthogonal polynomial expansion method for large Hamiltonian systems'"Comput.Phys.Commun.. (印刷中). (2002)