2002 Fiscal Year Annual Research Report
海氷・海洋結合系におけるアイスアルベドフィードバック
Project/Area Number |
12640414
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大島 慶一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (30185251)
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Keywords | 短波放射 / 季節海氷域 / 海氷融解 / 熱収支 / 南極海 / 海氷・海洋結合モデル / 海洋混合層 / マイクロ波放射計 |
Research Abstract |
本年度は、今までに収集された南極海全域での海氷・海洋上層データを統合して解析を行った。データは日本の「しらせ」、オーストラリアの「オーロラ」による東南極全域とアメリカの「パルマー」によるロス海で取得されたものである。これらのデータから、海氷密接度と海洋混合層の関係、及び海氷融解の季節進行は、開水面から入る熱によってのみ海氷が融解するとする簡略な海氷-海洋結合モデルで統一的に説明できることが示された。 観測データとモデルのフィッティングから、海洋-海氷結合系のキーパラメーターである海洋海氷間熱交換係数も決めることができる。バルクでみたときこの値は全南極域で季節を問わずほぼ同様な値となることがわかった。 この結合モデルは、海氷融解から結氷に至るまでの海氷・海洋場の気候値・年々変動を再現することができ、海氷融解期及び結氷期の年々変動は海氷-海洋結合系のアイスアルベドフィードバック効果によって決まる部分が大きいことが示唆された。すなわち、風の場が海氷の場に対して発散的であると、開水面より短波放射をより吸収し、海氷融解を促進し開水面を拡げ、ますます短波放射を吸収する、というポジティヴフィードバックが重要となる。風が収束的な場合は逆になる。しかし一方、大気も結合させた系で考えないと説明できない場合があることも示された。大気-海氷-海洋結合系として、アイスアルベドフィードバック効果を考えることが今後の課題として提示された。
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[Publications] Fukamachi, Y. et al.: "Variability of sea-ice draft off Hokkaido in the Sea of Okhotsk revealed by a moored ice-profiling sonar in winter of 1999"Geophysical Research Letters. (in press).
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[Publications] Ohshima, K. I. et al.: "Surface heat budget of the Sea of Okhotsk and the role of sea ice on it"J. Meteor. Soc. Japan. (in press).