2000 Fiscal Year Annual Research Report
理想的な状況下での中高緯度海洋循環の3次元構造に関する研究
Project/Area Number |
12640416
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保川 厚 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (00178039)
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Keywords | 海洋循環 / 海洋水温躍層 / 東岸境界層 / 鉛直密度拡散 / 海洋循環の応答 / 惑星波動 |
Research Abstract |
本研究では,理想的な状況下での中高緯度海洋循環の3次元構造とその成因を理論的・数値的に調べることを目的とする。本年度に行った研究の概要は以下の通りである。 1.数値実験:まず、東岸境界の問題について、これまでの計算では東岸境界層を十分に分解するにはグリッド幅がまだ広かったので、さらに細かくして実験を行った。それにより、東岸で粘性が支配的となる層内での項のバランスが求まった。また、内部領域の構造は、東岸境界層を十分に分解するかどうかには依らないことが明らかになった。さらに、海面風応力が与えられていない場合の実験を行った。予想に反して、この場合にも、ある程度深い所には風応力が与えられている場合と類似の構造が現れた。このことは、流れの弱い中層では密度拡散が重要となっていることを示唆する。 2.密度拡散の効果:中層での密度拡散の効果を理解するために、線形モデルによる理論的考察を行った。鉛直密度拡散を加えると、中緯度海洋を支配する方程式は、4階の拡散方程式となり、上下に境界が存在する場合には、特異な鉛直構造を示す。その構造の東岸からの距離依存性について調べた。さらに、非回転系ではどうなるかについても調べている。 3.通気水温躍層の大気変動に対する応答:大気変動に対する海洋循環の応答を明らかにするために、2.5層通気水温躍層中の線形惑星波動の性質に関する研究を行った。これまでは長波擾乱のみを扱ってきたが、ここでは、波動の性質の波長依存性についても研究を進めた。さらに、球面上での波動の伝播特性と局所長波理論との比較を行った。
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