2001 Fiscal Year Annual Research Report
ストームトラックの形成機構と時間平均循環場へのフィードバック効果の解明
Project/Area Number |
12640417
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
向川 均 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (20261349)
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Keywords | ストームトラック / 傾圧性擾乱 / 中緯度SST分布 / 大気大循環モデル / 水惑星実験 / エネルギー解析 |
Research Abstract |
対流圏中高緯度において総観規模擾乱の活動が活発な領域であるストームトラックは、北半球冬季においては、太平洋域と大西洋域に局在化している。このようなストームトラックの東西方向への局在化に対する中高緯度域の海面水温(SST)分布の影響を解明するため、全球が海の水惑星を仮定し、SST分布を様々に理想化して与えた大気大循環モデル(CCSR-NIES AGCM : 水平解像度T42、鉛直層数20)で季節を1月に固定し、長時間積分(1500日間)を行い、出現するストームトラックについて解析した。ここで、ストームトラックは、対流圏上層の250hPa等圧面で2.5日から6日の周期帯を持つ高度場変動が大きい領域として定義した。 その結果、ストームトラックを東西方向に局在化させるのに重要なのは、中高緯度域におけるSST分布偏差自体の値ではなく、SST分布の南北勾配の東西非一様性であることが分かった。さらに、擾乱の運動エネルギー解析により、SST分布の南北勾配の東西非一様性によって形成される大気の最下層における南北の温度勾配の非一様性によって、基本場から擾乱への傾圧エネルギー変換率が東西非一様になることが、ストームトラックを東西方向に局在化させる最も重要な要因であることが示された。また、従来の理論的研究で指摘されていた、擾乱から基本場への順圧エネルギー変換率の東西非一様性は、ストームトラックの局在化に必ずしも重要ではないことも示された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Mukougawa H., M. Abe: "Multiple zonal flow regimes in a two-layer model"Tohoku Geophysical Journal, Tohoku University. 36. 200-206 (2001)
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[Publications] Inatsu M., H. Mukougawa, S.-P.Xie: "Stationary eddy response to surface boundary forcing : Idealized GCM experiments"Journal of the Atmospheric Sciences. 59(印刷中). (2002)
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[Publications] Arai M., H. Mukougawa: "On the effectiveness of the eddy straining mechanism for the maintenance of blocking flows"Journal of the Meteorological Society of Japan. 80(印刷中). (2002)
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[Publications] Inatsu M., H. Mukougawa, S.-P.Xie: "Tropical and extratropical SST effects on the midlatitude storm track"Journal of the Meteorological Society of Japan. 80(印刷中). (2002)
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[Publications] Inatsu M., H. Mukougawa, S.-P.Xie: "On the localization of strong wind shear and storm tracks in an idealized AGCM"Bulletin of the Research Center for North Eurasia and North Pacific Regions, Hokkaido University. (印刷中). (2002)