2000 Fiscal Year Annual Research Report
Chandler Wobbleを励起する風ベクトルの全球構造の解明
Project/Area Number |
12640427
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
内藤 勲夫 国立天文台, 地球回転研究系, 助教授 (90000174)
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Keywords | 地球回転 / 大気相対角運動量 / 風ベクトル / チャンドラーウオブル |
Research Abstract |
気象庁(JMA)および米国環境予測センター(NCEP)による二つの全球客観解析データセットに基づく風、気圧、および風+気圧の3つの変動がChandler Wobble(CW)の励起に及ぼす寄与をMulti-Taper Methodによるペクトル解析手法で行った。その結果、JMAデータでは風+気圧の寄与がCW励起に十分な大きさを持つのに対して、NCEPデータでは極めて不十分であることが判明した。そこで、これらの関係を時間変動を追って調べた結果、JMAデータでは風と気圧のそれぞれによるCW励起の振る舞いが角運動量保存則に調和的であるのに対し、NCEPデータではほとんど調和的でないことがわかった。このとき、気圧の寄与は二つのデータセットでほぼ同じ振る舞いを示したことから、風ベクトルそのものがこれらデータセットで異なることがあらためて確認された。 これらの解析と並行して、励起構造が比較的単純なAnnual Wobble(AW)の励起に及ぼす寄与を二つのデータセットに基づいて調べた結果、NCEPデータの風の寄与は角運動量収支に調和しないことが判明した。これに対し、JMAデータの風はよく調和している。 以上の結果は「CW励起には大気変動は不十分である」とのこれまでの米国の研究者たち結果を否定することを意味し、従って、残る第3のデータセットであるヨーロッパ中期天気予報センター(ECMWF)のデータの解析に期待がかけられている。
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[Publications] Y.Aoyama and I.Naito: "Wind contributions to the Earth's augdar momentum budget in seasonal Variation"J.Geophys.Res.. 105. 12417-12431 (2000)
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[Publications] Y.Aoyama and I.Naito: "Atmospheric excitation of the Chandles Wobble"J.Geophys.Res.. 106(in press). (2001)
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[Publications] 内藤勲夫: "地球自転軸の自由振動の謎"パリティー. 16巻2号. 13-19 (2001)