2001 Fiscal Year Annual Research Report
後期始新世における隕石衝突事件前後の古環境変動と生物多様性の変化
Project/Area Number |
12640457
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西 弘嗣 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教授 (20192685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯崎 行雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90144914)
川幡 穂高 経済産業省産業技術総合研究所, 主任研究官
酒井 治孝 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (90183045)
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Keywords | 後期始新世 / 浮遊性有孔虫 / 古地磁気層序 / 隕石衝突 |
Research Abstract |
本研究ではODP171次航海のBlake Plateau上で掘削された1052および1053地点のコア試料を使用した.l052Aのコアに関してはlXから21Xまで,l053ではlHから20Wまで,1セクション(1.5m間隔)につき1試料,阻石衝突層準のみ10cm間隔で試料採取を行った.その結果,以下のことが明らかとなった. 1)両者の試料とも,浮遊性有孔虫化石帯のP14からP16までの範囲にあり,中期始新世の最後から後期始新世に及ぶ.また,26の生物事件を認識することができた. 2)古地磁気層序と対比すると,始新世中期を特徴づけるAcarininaやMorozovella属の多くは,C17n.3nで絶滅し,その絶滅層準を生き延びたAcarinina collactea, A.medizzaiなどもChron 17n.lnまでに絶滅する.この他,Globigerinatheka semiinvolutaの初出現はC17n.2n, Cribrohantkenina inflataはC16n.2nであることも明らかとなった. 3)群集解析の結果,中期始新世ではAcarinina, Morovella属が30〜40%を占めるが,絶滅後(37.32Ma)では,Globigerinatheka, Subbotina属が30〜50%を占めるようになる. 4)隕石衝突事件は,1053A地点で認められる.後期始新世の浮遊生有孔虫層序P15帯の中にあり,Globigerinatheka属の急減層準の上位,Porticulaphaera semiinvolutaの消滅層準の下位に認められる.古地磁気層序から計算した結果,隕石衝突層準は35.636〜35.634Maの年代を示すことが分かった.しかし,絶滅層準前後では浮遊性有孔虫に関して,大きな群集変化や絶滅事件は生じていない.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 西 弘嗣: "微化石からみた後期暁新世から初期始新世の温暖化"月刊地球,号外. No.29. 116-126 (2000)
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[Publications] 西 弘嗣, 尾田太良: "浮遊性有孔虫からみた海洋環境の解析法"月刊地球. 122・9. 601-608 (2000)
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[Publications] M.Y.Warraich, K.Ogasawara, H.Nishi: "Eocene planktonic foraminiferal biostratigraphy of the Dungan Formation, Sulaiman Range, ccntral Pakistan"Paleontological Research. Vol.4, No.4. 275-301 (2001)
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[Publications] 西 弘嗣, 尾田太良: "古環境指標としての浮遊性有孔虫"比較社会文化. 7. 139-159 (2001)
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[Publications] R.D.Norris, H.Nishi: "Evolutionary trends in coiling of tropical Paleogene plank tonic foraminifera"Paleobiology. Vol.27,No.2. 327-347 (2001)