2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640479
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
山本 修一 創価大学, 教育学部, 教授 (20182628)
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Keywords | TMAH / 熱分解メチル化法 / 古環境解析 / 環境指標化合物 / 堆積有機物 |
Research Abstract |
本報告では、カリフォルニア沖堆積物を用いた結果のうち、特にリグニンを指標とした場合の古環境の解析結果を述べる。リグニンの総量(V+S+C)は、氷期では高濃度(平均960ug/g-C)ではあるが大きく変動した(500-1800μg/g-C)のに対して、後氷期では安定していた(平均400μg/g-C)。バニリル類(V)とシリンギル類(S)の変動は、リグニン総量と同様に、いずれも氷期で多く、後氷期で少なかった。またS/V比は、約1万5000年前頃から次第にその比は増加しており、明らかに被子植物の寄与が後氷期になって相対的に増加していることがわかった。この結果は、Heusser(1998)の結果と一致しており、約2万3000年前頃から裸子植物のマツ類やイトスギ類の植物花粉が相対的に減少し、その反対に被子植物のカシ類やチャパラル(低木林)類の花粉が1万5000年前頃から相対的に増加したことを示している。 ケイ比酸類(C)のp-クマル酸とフェルラ酸は、いずれもバニリル類やシリンギル類と同様に氷期で多く、後氷期で少なかった。Pc/Vc比は、全体的に1.0以上であった。草本類のPc/Vc比は0.94であるので、全体的に草本類の比よりも高い。この結果から、Pc/VC比をさらに高くするものの寄与があることを示唆された。そこで、報告者らは、マツ科2種を含む6種の花粉についてTMAH法で分析を行った。その結果、特にマツ科の花粉にはp-クマル酸が特異的に多く含まれ、Pc/Vc比は18以上であった。このことから、特にPc/Vc比の高い1万年以上前の氷期では、マツ科などの花粉の影響があることを示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 山本修一: "TMAH法による高分解古環境変動の解析のための基礎的研究"創価大学教育学部論集. 49号. 61-78 (2000)
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[Publications] 山本修一 ら: "陸上植物由来有機分子(リグニン)の環境情報を解読する"月刊 海洋. 32巻. 623-627 (2000)
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[Publications] Ryoshi Ishiwatari et al.: "Variations in organic carbon isotopic composition in sediments at site 1017 during the last 25 k.y."Proceedings of the ocean drilling program, scientific results. 167. 273-276 (2000)
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[Publications] Hiroshi Ujiie et al.: "Upward decrease of organic C/N ratios in the Okinawa Trough cores : proxy for tracing the post-glacial retreat of the continental shore line"Palaeogeography, palaeoclimatology, palaeoecology. 165. 129-140 (2001)
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[Publications] Ryoshi Ishiwatari et al.: "Source of organic matter in sinking particles in the Japan Trench : molecular composition and carbon isotopic analyses"Dynamics and characterization of marine organic matter Eds., N.Handa, et al.By TERRAPUB/Kluwer. 141-168 (2000)