2002 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯域において植物から大気中に放出される極性有機化合物の分布と変動に関する研究
Project/Area Number |
12640481
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
横内 陽子 国立環境研究所, 化学環境研究領域, 主任研究官 (20125230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遊川 知久 国立科学博物館, 筑波実験植物園, 研究官 (50280524)
奥田 敏統 国立環境研究所, 生物圏環境研究領域, 総合研究官 (20214059)
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Keywords | 有機化合物 / 大気 / 植物 / アセトン / 塩化メチル |
Research Abstract |
マレーシア・パソの熱帯雨林において、植物由来の大気中揮発性有機化合物(VOC)の観測をテフロンバッグ法とキャニスターあるいは吸着トラップ法の組み合わせにより実施した。測定対象には、東南アジア低地熱帯林における優勢種であるフタバガキ類とタポスを選定した。Shorea Accuminato他10種類のフタバガキの葉から放出されるVOC組成には種毎に大きな違いが見られたが、含酸素化合物(OVOC)としてアセトン、アセトアルデヒド、メタクロレン、メチルビニルケトン、ヘキセニルアセテート、フラン、メチルフラン、エチルフラン、ブタノン、ブテノン、C4-C8アルコール、C5-C9アルデヒド、C6-C8ケトンが放出ガス中に検出された。これらの内、森林大気中で主要成分として検出されたものはアセトン、アセトアルデヒド、メタクロレン、メチルビニルケトンと比較的低分子のものに限られていたが、アセトンやアセトアルデヒド濃度はppbレベルに達していた。これら低分子OVOCにはイソプレンなどの一次放出ガスの反応生成物が相当量含まれている可能性があるが、熱帯林全体としてOVOCの重要な発生源になっていることが明らかとなった。また、昨年度の温室実験によって明らかとなったフタバガキからの塩化メチル放出については、Neobalannoarpus heimiiが0.2μg/g(乾燥重量)/h以上の割合で塩化メチルを放出するなど、実際の熱帯林において確認することができた。しかし、全てのフタバガキが塩化メチルを大量に放出するわけではなく、幼樹や地衣類の付着した葉では塩化メチル放出は少ないという結果が得られた。
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Research Products
(2 results)