2000 Fiscal Year Annual Research Report
選択的多重同位体標識法による高極性分子の構造解析と励起状態動力学
Project/Area Number |
12640491
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中垣 良一 金沢大学, 薬学部, 教授 (20159057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国本 浩喜 金沢大学, 工学部, 助教授 (10242538)
甲谷 繁 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (00242529)
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Keywords | DMABN / 重窒素化 / 重炭素化 / 重水素化 / 振動解析 / DMABN-F_4 |
Research Abstract |
p-N,N-ジメチルアミノベンゾニトリル(DMABN)のジメチルアミノ基の重窒素化体、二重重炭素化体、六重重水素化体とシアン窒素を重窒素化したものを合成した。天然組成体と併せて5種類のDMABNについて、赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルを測定した。すべての振動バンドを分子長軸に対して平行と垂直の2種類に分類し、種々の近似レベルにおいて基底状態分子の振動解析をおこなった。従来の振動解析が不充分であったのに対して、本研究ではほぼ完全な解析が行なわれており、各バンドの帰属は極めて信頼度が高い。 DMABNのアセトニトリル溶液中の電子励起状態のピコ秒指紋領域過渡赤外吸収スペクトルを測定し、同位体による波数シフトからバンドの帰属を行なった。天然組成体では、1276cm^<-1>に過渡種による強い吸収が認められた。このバンドは。分子長軸に遷移モーメントをもっていて、ジメチルアミノ基の同位体置換で大きくシフトするので、フェニルージメチルアミノ基の伸縮振動の寄与を大きく含むと結論される。六重重水素化体では、1275cm^<-1>のところに負のピークがある。他の同位体標識体では1275cm^<-1>のところに正と負のバンドが重なっていて、負のピークには同位体シフトが観測されない。従って、この負のバンドは過渡種のベンゾニトリル部分の振動に帰属される。 また、DMABNの芳香環水素をすべてフッ素化したDMABN-F_4の励起状態の挙動を検討した。DMABN-F_4は、シクロヘキサンのような無極性溶媒中においても、長波長蛍光の強度が著しく高く、もとの親化合物(DMABN)の挙動と大きく異なっている。
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Research Products
(1 results)