2002 Fiscal Year Annual Research Report
炭素に結合したフッ素原子と金属カチオンあるいは有機化合物との相互作用の証明
Project/Area Number |
12640522
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
武村 裕之 九州大学, 大学教育センター, 助手 (60183456)
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Keywords | C-F…M^+相互作用 / フッ素 / 大環状化合物 / 双極子-カチオン相互作用 / シクロファン / ^<19>F NMR |
Research Abstract |
フルオロベンゼン6枚を構造単位とする化合物1とアルカリ金属カチオンとの錯体、またフルオロベンゼン4枚、エチレンオキサ鎖2つを持つ化合物2のカチオン錯体の結晶構造解析を行い、フッ素、酸素、窒素がカチオンに対して示す捕捉能の寄与をBrownの式によって見積もった。これより、2においてフッ素はカチオンの安定化に窒素よりも大きく、また酸素とは同等かより大きく寄与していることがわかった。化合物1の錯体ではカチオンがC-F単位でのみ安定化するという世界最初の例を示すことができた。さらに1,2のセシウム,タリウム錯体の^<19>F NMRではM^+…Fのスピンカップリングが観測された。これはC-F…M^+相互作用の決定的な証拠となった。NH_4^+⊂1ではC-F…M^+相互作用だけでなくC-F…HN^+水素結合の有無に関しても検討した。溶液中でのIRおよび^1H,^<19>F NMRスペクトルでは水素結合を示す明確な証拠は得られなかった。現在別の大環状化合物を合成し、C-F…HN^+水素結合の有無について結論を出すべく検討している。 C-F…M^+相互作用はどのようなカチオンに対して働くかを調べるためにNMRを用いて種々の金属カチオンとの相互作用を調査した。その結果、ほとんどのカチオンでC-F…M^+相互作用が観察された。別の実験によりC-F単位はカチオンに配位する能力は小さいことがわかり、双極子-カチオン相互作用がC-F…M^+相互作用の主な原因であることがわかった。従って炭素に共有結合したフッ素原子(C-F単位)はすべてのカチオンと相互作用すると結論される。有機カチオンとの相互作用の有無を調べるために平面で比較的大きな空孔を持つ大環状化合物を合成した。現在これとトロピリウムカチオン、トリフェニルメチルカチオン、グアニジニウム塩などとの相互作用を^<19>FNMRを用いて検討したが、カチオン塩の溶解度が悪くうまく測定ができずはっきりした結果はでなかった。将来、C-F単位を持つ新しいリガンドを設計することで解決できると思われる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hiroyuki Takemura et al.: "Syntheses of Macrocyclic Compounds Which Possess Fluorine Atoms in the Cavities : Structures and Complexation with Cations"Eur.J.Org.Chem.. 141-148 (2000)
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[Publications] Hiroyuki Takemura et al.: "The C-F…Cation Interaction : An Ammonium Complex of Hexafluoro Macrocyclic Cage Compound"Chem.Eur.J.. 6. 2334-2337 (2000)
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[Publications] Hiroyuki Takemura et al.: "C-F…Cation Interaction : Alkali Metal Complexes of Hexafluoro Cage Compound"Tetrahedron Letters. 41. 6105-6109 (2000)
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[Publications] Hiroyuki Takemura et al.: "A study of C-F…M^+ Interactions : Alkali Metal Complexes of the Fluorine-Containing Cage Compound"J.Org.Chem.. 66. 2778-2783 (2001)
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[Publications] Hiroyuki Takemura et al.: "A study of C-F…M^+ Interaction : Metal Complexes of Fluorine-Containing Cage Compounds"J.Am.Chem.Soc.. 123. 9293-9298 (2001)
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[Publications] 武村 裕之: "炭素に共有結合したフッ素原子(C-F):新しいカチオンドナーとしての性質"有機合成化学協会誌. 60,No.10. 963-973 (2002)
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[Publications] Hiroyuki Takemura: "Fluorinated Macrocycles : A New Donor(C-F)For Cations"Cyclophane Chemistry for the 21st Century. 127-148 (2003)