2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640532
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大槻 勤 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50233193)
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Keywords | フラーレン / 半減期 |
Research Abstract |
原子内包フラーレンに対して、多量に生成することができるC60やC70のその生成過程で原子を内包することは困難とされてきたが、我々は加速器を利用した核的反跳法を用いて、放射性同位元素を直接外からC60やC70フラーレン分子に内包させることができることを放射性同位元素をトレースすることにより見いだした。内包された原子はベリリウムなどの原子半径の小さな原子、ヒ素、セレン、アンチモン、テルルなどの非金属元素、そしてクリプトン、キセノンなどの不活性ガスである。これらの放射性同位元素においてEC崩壊核種であるBe-7に着目し、その化学形Be@C60の状態において半減期の精密測定を行っている。当初の計画では温度による影響と圧力による影響を調べる計画であったが、まず、常温と6Kの状態において、半減期がどれほど異なるか調べるに至った。Be-7はいろいろな化学形についてその半減期の報告がなされている核種で、53日を多少越える半減期が与えられている。常温では53.24±0.06日と与えられているが、6Kの温度では52.98±0.05という結果が与えられた。この値は天然に存在するK-40の放射能の観測値が統計内で一定であることから信頼できる値と考えられる。さらに今回は化学形の違いで半減期に違いが現れるかどうか精度良く調べるために、試料回転測定装置の導入を行った。この装置の導入により同一条件で4個の試料の比較精密測定が可能になる。現在、測定を続行しているが、Be-7の半減期は53日程度と比較的長いため、結果を得るには半年程を要する。フラーレンに内包された原子はケージの内側において高速で回転していると言われているが、最近の研究では80K以下になると内包された原子の運動が止まることが分かってきた。本測定の結果ではこの化学的なdinamicsとstaticな違いが現れているのかもしれない。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Ohtsuki et al.: "Systematic study of foreign-atom-doped fullerenes by using nuclear recoil method and their M.D simulation"Journal of Chemical Physics. 112. 2834-2842 (2000)
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[Publications] K.Akiyama et al.: "Isolation and characterization of light actinide metallo-fullerene"Journal of American Chemical Society. 123. 181-182 (2001)
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[Publications] T.Ohtsuki et al.: "Formation of new materials in fullerenes by using nuclear recoil : Sb case."Scripta Materialia. (in press).
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[Publications] T.Ohtsuki,K.Ohno: "Nuclear and Radiochemical Approaches to Fullerene Sciences"T.Braun,Kluwer Academic Publisher. 22 (2000)
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[Publications] T.Ohtsuki,K.Ohno: "Physics and Chemistry of Clusters"Y.Kawazoe,Springer and Verlage(in press). (2001)