2000 Fiscal Year Annual Research Report
合成ヘムとミオグロビン変異体による亜硝酸還元酵素モデルの構築と反応機構の研究
Project/Area Number |
12640549
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
藤井 浩 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (80228957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船橋 靖博 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (00321604)
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Keywords | 亜硝酸還元酵素 / ヘム / 一酸化窒素 / 反応機構 / 人工酵素 / ミューテ-ション |
Research Abstract |
脱窒過程の一部を担うヘム型亜硝酸還元酵素の反応機構を解明するため、その酵素モデルの作成を行った。本酵素は、ジケト型イソバクテリオクロリンをその活性中心にもつ。そこで、化学的にジケト型イソバクテリオクロリンの合成を行った。ポルフィリンを出発原料としてオスミウム酸化によりモノケト型クロリンとした後、異性体を分離後、もう一度オスミウム酸化を行いジケト型イソバクテリオクロリンを合成することができた。得られたジケト型イソバクテリオクロリンに鉄イオンを挿入した。得られた鉄錯体は、ポルフィリン側鎖の置換基に違いがあるにもかかわらず、酵素から単離されたジケト型イソバクテリオクロリンの吸収スペクトルと類似していることがわかった。そこでさらに酵素モデル化を行うため、この鉄錯体とタンパク質(アポミオグロビン)の複合体の生成を検討した。合成した鉄錯体は、アポミオグロビンに1:1で取り込まれ、安定な複合体を形成できることがわかった。カラムクロマトにより精製することができた。今回作成したモデル酵素の吸収スペクトルは、酵素の吸収ピークをよく再現した。酵素内では二つのヘムがあるためジケト型イソバクテリオクロリンの吸収が判別されていなかったが、本研究によりピークの帰属ができた。またEPR測定を行ったところ、鉄3価高スピン状態にあることがわかった。また、ポルフィリン骨格の対称性が低下したにもかかわらず、大きなg値の異方性は観測されなかった。これらの結果は、アポミオグロビン内で酵素と同様にヘム鉄にヒスチジン残基が配位していることを示した。さらに来年度は、ミオグロビンにミューテーションを導入して、酵素機構の発現をめざす。
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