2001 Fiscal Year Annual Research Report
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12640554
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
吉原 経太郎 北陸先端科学技術大学院大学, 副学長 (40087507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊崎 茂一 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (40293401)
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Keywords | 分光増感 / 超高速分光 / 電子移動 / 銀塩 / 色素増感 / エネルギー移動 / 強色増感 / 結晶系 |
Research Abstract |
写真の色増感は銀塩微粒子上に吸着した色素からの光励起電子移動によって起こる。高性能フェムト秒蛍光寿命測定装置を用いて、色増感機構の超高速ダイナミクスの基礎的研究を行った。この時間より遅い時間分解能の研究はこれまで存在したが、フェムト秒の実験は世界ではじめてである。このことは単に速い実験を行った意義にとどまらない。なぜならば色素増感の初期過程即ち色素間の電子移動と色素から臭化銀への電子移動は主としてフェムト秒からピコ秒の短い時間領域で起こることを本研究によって証明できたからである。 銀塩の結晶系(立方晶系(100面)と斜方晶形(111面))と結晶の大きさ(ナノサイズからサブミクロンサイズ)、過剰に与える銀イオン量(pAg)、色素会合状態(通常J会合体と呼ばれる特殊な配列状態)、異種添加色素による強色増感(スーパーセンシタイゼーション)などと初期過程の関係を本研究によって、初めて明らかにすることが出来た。 具体的にはエマルジョン銀塩単結晶に吸着した色素の蛍光寿命の測定を上記の種々の条件で行った。さらに乾燥させたフィルム上の同一システムの研究を行った。このため測定用試料架台を作成した。銀塩の結晶形によって吸着色素の蛍光寿命が異なることを初めて見出した。立方晶形では電子移動が遅く、斜方晶形では速かった。また、(111)面上の実験において蛍光の時間分解異方性実験からエピタキシャル吸着した色素間のエネルギー移動の速さを初めて測定した。結晶粒子サイズ依存性はハロゲン化銀の空間電荷層が伝導帯と荷電子帯エネルギーのバンドベンディングを与え電子移動の速さに影響を与えるものと思われる。後者では電子移動が最速の電子移動速度を与えるエネルギー関係が成り立っているものと推測した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] I.V.Rubtsov, K.Ebina, K.Yoshihara, J.Knoester, T.suzumoto, T.Tani: "Spectral Sensitization, Supersensitization and Ultrafast Exciton Migration on AgBr Semiconductor Surface"Ultrafast Phenomena XII, Springer-Verlag, Berlin. 12. 445-446 (2000)
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[Publications] J-W Oh, S.Kumazaki, I.V.Rubtsov, T.Suzumoto, T.Tani, K.Yoshihara: "Ultrafast energy transfer in J-aggregate on AgBr microcrystals : its dependence on dye coverage"Chem. Phys. Lett.. 352. 357-362 (2001)
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[Publications] I.V.Rubtsov, K.Ebina, F.Satou, J-W.Oh, S.Kumazaki, T.Suzumoto, T.Tani, K.Yoshihara: "Spectral Sensitization and Supersensitization of AgBr Nanocrystals Studied by Ultrafast Fluorescence Spectroscopy"J. Phys. Chem. A. 106. 2795-2802 (2002)