2002 Fiscal Year Annual Research Report
フタロシアニン系色素を担持したラテックス光触媒の開発と環境汚染物質の高効率光分解
Project/Area Number |
12640559
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
中島 謙一 佐賀大学, 理工学部, 教授 (10104720)
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Keywords | ラテックス / フタロシアニンアルミニウム / 光触媒 / 環境汚染物質 / 光分解 / 光反応機構 |
Research Abstract |
本研究は、(i)吸着媒として様々な機能を持つラテックスと光捕集色素として優れた性質を持つフタロシアニン系色素を結合させて新規な光触媒を開発すること、(ii)それを用いて環境汚染物質を高効率で光分解処理すること、及び(iii)その光反応機構を解明することを意図したものである。 平成14度は、フタロシアニンアルミニウム錯体を担持したラテックスの合成とそれを用いた河川水汚染物質のモデル化合物の光分解を試みた。 【1】フタロシアニンアルミニウム錯体の合成 San Romanらの方法(J. Photochem. Photobiol. B : Biol.1989,3,615)を参考にして、カルボキシル基を持つフタロシアニンアルミニウム錯体を合成した。得られた化合物について元素分析、可視-紫外分光法及び赤外分光法によって特性解析を行った。さらに、蛍光スペクトル測定などによってフタロシアニンアルミニウム錯体の分光学的特性を明らかにした。 【2】フタロシアニンアルミニウム錯体を担持したラテックスの合成 表面イオン基としてアミノ基を有するラテックスに前記のフタロシアニンアルミニウム錯体をアミド結合によって導入した。元素分析、ICP発光分光分析及び赤外吸収法によってフタロシアニンアルミニウム錯体の担持量を決定した。 【3】河川水汚染物質のモデル化合物の光分解 フタロシアニンアルミニウム錯体を担持したラテックスの分散液中に河川水汚染物質のモデル化合物としてエオシンYを溶解し、光分解を試みた。フタロシアニンアルミニウム錯体を担持していないラテックス分散液に比べ、エオシンYの顕著な分解が見られた。エオシンYは第一励起一重項状態がフタロシアニンアルミニウム錯体より高エネルギー側にあるのでエネルギー移動による光分解は可能性が低く、一重項酸素の発生による酸化分解が考えられる。 今後の予定として、一重項酸素の測定や過渡吸収スペクトル測定などによって光分解の反応機構を解明すること、実際の環境汚染物質(内分泌撹乱物質等)の光分解を行うことを計画している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Watanabe, et al.: "Singlet Oxygen as Sensitized by Methylene Blue in Polystyrene Latex Dispersions"ITE Letters. 3巻1号. 49-52 (2002)
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[Publications] Y.Li, et al.: "Nano-Aggregate Formation of Poly(ethylen oxide)-b-Polymethacrylate Copolymer Induced by Alkaline Earth Metal Ion Binding"Langmuir. 18巻. 6727-6729 (2002)
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[Publications] Y.Li, et al.: "Fluorescence Studies on the Properties of the Nano-Aggregates of Poly(ethylene oxide)-b-Polymethacrylate Copolymer Formed by Binding of Cationic Surfactants to Polymethacrylate Block"Langmuir. 19巻. 548-553 (2003)