2001 Fiscal Year Annual Research Report
2相界面を利用するメゾスコピック分子会合体の構造制御と光機能
Project/Area Number |
12640563
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
八尾 浩史 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (20261282)
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Keywords | 界面 / J会合体 / メゾスコピック / モルフォロジー / 相分離 / 光機能 / マイクロスコピー / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
前年度、メゾスコピックJ会合体を高感度に観測し、合わせて微小領域の光機能を選択的に測定できる顕微蛍光観察・分光測定システムを構築したが、今年度は、このシステムや原子間力顕微鏡などを駆使して様々なメゾスコピック超分子会合系の観察を行った。これまでは主に、固/液界面、特に構造が規制されたマイカ/水溶液界面に於ける1種類の色素のメゾスコピックJ会合体の形成過程を調べてきたが、これらの知見を元に、構造が類似する2種類のシアニン色素を導入して分子間あるいは分子と界面との相互作用をコントロールし、その構造・形態や光機能性がどの様に変化するかを詳細に調べた。その結果、バルク分光特性としては2つの色素の電子状態が均一化した混合型J会合体の形成が確認されたが、モルフォロジー特性は均一ではない事が初めて明らかとなった。偏光励起顕微蛍光観察によると、混合型J会合体は、1種の色素系の時と比較して一層大きなマイクロメートル領域のドメイン構造を形成すると共に、そのドメイン内の分子配向はほぼ一方向に揃っていた。更に、2種類の色素の組成比を変化させると、混合型J会合体は次第に離散的に分布するようになるが、分子の界面吸着密度には変化がない事が分かった。これは、混合型J会合体が界面領域で形成する際に、マイクロ-メゾスコピックな相分離が生じていることを証明するものである。メゾスコピックな相分離過程は、単一の混合型J会合体のレーザー励起顕微分光測定によっても明らかとなった。この相分離過程は、2つの極小を持つ混合自由エネルギーモデルによって解析可能であること、また、核生成・成長メカニズムで説明できることが示された。この様に、分子の界面吸着特性をコントロールする事により、様々な光機能やモルフォロジーの制御が期待できるため、界面を利用した新たな物質機能性の発現を目指す界面科学の発展にとって意義ある結果を得ることができた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.S.Ono: "Morphological Control of the Supramolecular Pseudoisocyanine J Aggregates by the Functions of a Mica/Solution Interface"Appl. Surf. Sci.. 177. 189-196 (2001)
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[Publications] H.Yao: "Large Absorption Reduction for Mesoscopic Thiacyanine J aggregates in Solution"Chem. Phys. Lett.. 340. 211-216 (2001)
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[Publications] H.Yao: "Morphology Transformation of Mesoscopic Supramolecular J Aggregates in Solution"Phys. Chem. Chem. Phys.. 3. 4560-4565 (2001)
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[Publications] H.Yao: "Lattice Structure of Mesoscopic Rod-like J Aggregates of Thiacyanine Dye Characterized by Atomic Force Microscopy"Chem. Lett.. No.9. 884-885 (2001)