2001 Fiscal Year Annual Research Report
その場観測核磁気共鳴法による機能性ナノ空間中のゲストの構造と電子状態の研究
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12640570
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
緒方 啓典 法政大学, 工学部, 専任講師 (10260027)
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Keywords | 単層カーボンナノチューブ / ^<13>C-NMR / C_<60>内包SWNT / C_<70>内包SWNT |
Research Abstract |
単層カーボンナノチューブ(SWNT)は、その構造上の特徴として、直径1nm程度の事実上無限遠長の均一性の高いシリンダー状の細孔構造を形成していることが挙げられる。この細孔構造は、ファンデルワールス相互作用の重ね合わせ効果により各種分子との間に深い相互作用ポテンシャルを形成し、一種の能性空間と見なすことができる。この強い相互作用によってチューブ内部に内包された分子は、通常の分子集合体とは異なる分子配列、局所構造および電子状態をとることが期待されている。近年、SWNT試料に適切な熱処理を行うことによりチューブ先端を開くことによりこの細孔構造を活性化させることが可能であること、さらに細孔内にC_<60>、C_<70>等フラーレン分子が高密度に内包され得ることが分かってきた。本年度は、このSWNT内細孔場の特異性を解明することを目的として、^<13>CをエンリッチしたC_<60>及びC_<70>分子を用いて高純度C_<60>内包SWNT及びC_<70>内包SWNT試料を合成し、600Kから5Kにおよぶ広範囲な温度領域において^<13>C-NMRスペクトル及びスピン-格子緩和時間(T_1)測定を行うことにより、内包されたC_<60>及びC_<70>分子の局所構造、動力学および電子状態を解明した。この結果、Raman散乱や電子線回折実験の結果から指摘されていた、C_<60>内包SWNT内のC_<60>重合体構造は本質的な構造でないことを明らかにするとともに、その特異性(内部圧力効果、分子運動における一次元性に基づく揺らぎを伴った相転移現象)を解明することに世界で初めて成功した。それらの成果については、英国及びオーストリアで行われた2つの国際会議において招待講演を行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.TAKABAYASHI 他: "Study on the Physical Properties of Na_4C_<60>"Nanonetwork Materials. 345-348 (2001)
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[Publications] S.Motohashi 他: "Unusual Magnetic Properties of High-Temperature Reaction Products of Cerium Metal and C_<60> solid"Nanonetwork Materials. 365-368 (2001)
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[Publications] 緒方啓典, 斎藤弥八: "カーボンナノチューブを利用した水素貯蔵"ECO INDUSTRY. 16巻12号. 5-11 (2001)