2000 Fiscal Year Annual Research Report
Bowl型反応場を用いる含ヘテロ原子不安定化学種の安定化
Project/Area Number |
12640575
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
竹中 惠子 日本女子大学, 理学部, 助手 (00130740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 廉治 日本女子大学, 理学部, 教授 (70011567)
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Keywords | S-ニトロソチオール / 芳香族化合物 / 立体保護 / X線結晶構造解析 / 反応場 |
Research Abstract |
有機化合物は官能基の組合せによって構成されているので、新しい官能基の創製は、新しい構造、反応性、物性などの期待される新しい種類の有機化合物の合成につながる。不安定な官能基を持つ化合物は、一般に高い反応性を持つので、その合成の研究は従来にない反応性の発現を可能にするのみならず、結合論における新たな知見をもたらす点で高い学術的意味を持つ。本研究では、そのような不安定化学種としてヘテロ原子を含む-X-Y=Z型化合物を取り上げた。本年度は、そのうちの一つである-S-N=Oについて検討した。このS-ニトロソチオールは、脂肪族では比較的安定に存在する例もあるが、芳香族では単離例が報告されていない。そこで、我々が開発したbowl型反応場である4-t-butyl-2,6-bis[(2,2"-6,6"-tetramethy-m-terphenyl-2'-yl)methyl]phenyl基(Bmt基)を立体保護基として用い、このbowl型構造により反応性の高い官能基が保護され分解が抑制できると考えた。まず、S-ニトロソチオールの前駆体として、Bmt骨格を有するチオールを対応するブロミドのリチオ化およびそれに続く硫黄との反応で合成した。得られたチオールを亜硝酸t-ブチルと反応させることにより初めての安定な芳香族S-ニトロソチオールを合成することに成功した。また、そのX線結晶構造解析を行い、芳香族S-ニトロソチオールの分子構造を初めて明らかにした。これにより、C-S-N-O骨格はsyn配座をとり、また、脂肪族のものに比べC-S結合長が著しく短いことが示された。さらに、芳香族S-ニトロソチオールの反応性についても検討した。
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