2000 Fiscal Year Annual Research Report
接触反応における配位子の活性化効果と新規接触分析法の開発
Project/Area Number |
12640589
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中野 惠文 鳥取大学, 教育地域科学部, 教授 (40032164)
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Keywords | 接触反応 / 配位子 / 活性化効果 / 銅(II)イオン / 鉄(III)イオン / フローインジェクション分析 |
Research Abstract |
過酸化水素によるN,N-ビス(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-o-トリジン(SAT-3)の酸化反応において銅(II)、鉄(III)及びコバルト(II)が接触作用を示したので、まず、バッチ法(反応温度30℃、反応時間15分)によりこの接触反応系における各種配位子の活性化効果とpHの影響について精査した。その結果、銅(II)の接触作用に対してピリジン、クプロイン、ネオクプロイン(NCP)、バソクプロインスルホン酸塩が、鉄(III)の場合においては、ビピリジン、1,10-フェナントロリン(phen)が、pH3-5において著しい活性化効果を示した。また、コバルト(II)の場合には、pH4付近で炭酸水素塩を存在させるとphenの活性化作用が認められた。これらの配位子濃度の影響についても検討したところ、いずれの配位子も濃度の増加に伴い、接触反応の速度を増大させた。しかし、ある濃度以上の配位子が存在すると、逆に接触反応の速度は減少した。また、本反応系に酒石酸や二リン酸塩を共存させると、銅(II)、鉄(III)及びコバルト(II)の接触作用は阻害された。 次に、最も活性化効果が著しかったNCPを銅(II)の活性化剤として選択し、本反応系を用いる銅(II)のフローインジェクション分析法の確立を試みた。4流路系のフローシステムを組み立て、SAT-3濃度、過酸化水素濃度、NCP濃度、反応pH、反応コイルの長さなどの分析条件を検討した。得られた最適条件下において50ng ml^<-1>までの銅(II)が迅速にしかも精度よく定量できることとなった。今後、本反応系において著しく接触作用を示した鉄(III)のマスキング剤の選択を行った後、その他の共存イオンの許容限界濃度を明らかにするとともに本法を実試料の分析へ応用する予定である。
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