2001 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌主要酸性リン脂質の細胞増殖における役割の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
12640595
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
松本 幸次 埼玉大学, 理学部, 教授 (00119140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 弘志 埼玉大学, 理学部, 助教授 (00173071)
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Keywords | 酸性リン脂質 / rcs変異 / yojN変異 / プロリポ蛋白質 / ホスファチジルグリセロール |
Research Abstract |
平成13年度は以下のように2つの研究計画を併行して実施した。 (1)酸性リン脂質完全欠損で増殖する1pp欠損変異株のサプレッション機構の解明 1pp遺伝子の発現誘導により生産されるプロリポ蛋白質が、どのようにして酸性リン脂質が欠損した細胞を致死に導くかを解析した結果、酸性リン脂質欠損による致死性の主原因は、ホスファチジルグリセロールによる修飾(プロセシングに必要)が出来ない為に内膜に留まっているプロリポ蛋白質が、ペプチドグリカンと結合することにより生じるenvelopeの損傷による毒性であると結論された。ペプチドグリカンと結合できない変異プロリポ蛋白質を発現させた場合の、酸性のリン脂質生合成中間体(ホスアチジン酸とCDP-ジアシルグリセロール)の消耗量を検討し、これらが修飾に代用されうること、また、代用により酸性の生合成中間体の減少が、増殖の停止をもたらすことを示唆する結果を得た。更に、脂質修飾を不能とするプロリポ蛋白質の変異蛋白質を作成し、これを発現に用いて、酸性のリン脂質量の減少と増殖停止との関係を検討した。 (2)酸性リン脂質を必須とする細胞機能に関与する遺伝子の検索 酸性リン脂質の欠損による増殖阻害を抑圧するサプレッサー変異株の解析計画において、酸性リン脂質完全欠損による高温感受性を抑圧する変異株を多数分離し、変異部位の解析を行ってきた。これまでにrcsC,rcsB,rcsF,yojNの失活変異が明らかになり、すべてRcs制御系にかかわるものであった。更にまた、研究室で用いてきた主要酸性リン脂質完全欠損変異株にはrcsA変異がはいっていたことを見出し、rcsAを野生型とした株を構築して、その特性を検討した。野生型のrcsAをもつ株は増殖速度が遅く、高温にはより感受性であり、SDSに高感受性であり、この株の培養では、rcsAの挿入破壊変異株が容易に蓄積した。ドットブロット解析により、Rcs制御系の標的であるcpsオペロンのmRNA量がこの株において顕著に増加していることを見出した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Matsumoto, K.: "Dispensable nature of phosphatidylglycerol in Escherichia coli:dual roles of anionic phospholipids"Molec.Microbiol.. 39(6). 1427-1433 (2001)
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[Publications] 鈴木基生, 原 弘志, 松本幸次: "大腸菌主要酸性リン脂質欠損変異の致死性を1pp変異がサプレスする機構"脂質生化学研究(JCBL). 43. 21-24 (2001)