2001 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化傾向下における地域サンゴ群集の保全に関する研究
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12640619
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
酒井 一彦 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教授 (50153838)
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Keywords | 造礁サンゴ / 大規模白化 / 群集回復 / 集団遺伝 / 琉球列島 / 幼生分散 / 遺伝子流 |
Research Abstract |
(1)瀬底島周辺におけるサンゴ群集回復の追跡:1998年大規模白化後のサンゴ群集の回復過程を追跡するために、瀬底島周辺に永久方形区域を設定し、野外調査を前年度より継続して実施した。その結果、造礁サンゴの被度は減少傾向にあり、かつ前年に比較的多く加入が見られたミドリイシ属サンゴの生存率は低く、新規加入も少なかった。一方ソフトコーラルは、新規加入は少なかったものの1998年の高水温を生存した群体の成長により、被度が前年度の約2倍に増加し、サンゴ群集はソフトコーラル優占へと変化しつつあった。 (2)瀬底島周辺における2001年サンゴ白化の状況:2001年は1998年に引き続き再び夏季の水温が上昇したが、8月末の台風の接近により水温が低下し、1998年の高水温を生き延びたミドリイシ属サンゴの白化による死亡率は20%であった。今後地球温暖化が進めば、沖縄島周辺のサンゴ群集がさらに衰退を続けることが示唆された。 (3)瀬底島におけるサンゴ個体群の移植による回復実験:1998年の大規模白化により瀬底島周辺で地域的な絶滅状態となったショウガサンゴについて、実験に使用後のサンゴ群体を群体片に分割し、移植による個体群の回復の可能性を検証したが、2001年夏季の高水温時に白化し全てが死亡した。 (4)琉球列島におけるサンゴ個体群の集団遺伝学的解析:沖縄島、慶良間諸島、および石垣島/西表島において、前年度2種の造礁サンゴについて実施したアロザイム分析による地域間の遺伝子流の推定を、上述の地域において4種の造礁サンゴを新たに加えて実施した。現在その結果を解析中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Loya, K.Sakai 他: "Coral bleaching : the winners and the losers"Ecology Letters. 4. 122-131 (2001)
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[Publications] Muko, S., K.Sakai 他: "Dynamics of marine sessile organisms with space-limited growth and recruitment : application to corals"210. 67-80 (2001)
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[Publications] Muko, S., K.Sakai 他: "Size distribution dynamics for a marine sessile organism with space-limitation in growth and recruitment : application to a coral population"Journal of Animal Ecology.. 70. 579-589 (2001)
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[Publications] Rinkevich, B., K.Sakai: "Interspecific interactions among species of the Coral Genus Porites from Okinawa, Japan"Zoology. 104. 91-97 (2001)