2000 Fiscal Year Annual Research Report
真核光合成生物のリン酸欠乏ストレスに対する順化機構の分子遺伝学的解明
Project/Area Number |
12640637
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
下河原 浩介 帝京大学, 医学部, 講師 (60226272)
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Keywords | リン酸トランスポーター / アルカリフォスファターゼ / クラミドモナス / Chlamydomonas reinhardtii / 転写制御 / リン酸欠乏 / 環境応答 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
クラミドモナスcDNAライブラリーより、植物の高親和型リン酸トランスポーター(PT)のホモローグを2種類、分泌型アルカリフォスファターゼ(AP)のホモローグを1種類クローニングした。PT遺伝子のホモローグ(CrPT1,CrPT2)は、それぞれ560、545アミノ酸のポリペプチドをコードしており、両者はアミノ酸配列レベルで83%と、極めて高い相同性を示した。また、両者とも6種類あるシロイヌナズナのPT遺伝子いずれとも有意の相同性を示し、アミノ酸配列レベルでの相同性は最大で30%であった。クラミドモナスAP遺伝子(CrAP)は、1321アミノ酸のポリペプチドをコードしており、Volvox carteriのAPと、アミノ酸配列レベルで60%の相同性を示した。 CrPT1は、細胞のリン酸飢餓処理3時間以内にその転写が完全に抑制された。このことは、CrPT1遺伝子産物がリン酸飽食状態でのみ特異的に発現するリン酸トランスポーターをコードしている可能性を示唆する。一方、この飢餓処理ではCrPT2の転写量に変化は見られなかった。CrAPは、このリン酸飢餓処理により転写誘導された。CrPT1のリン酸飢餓ストレスによる転写抑制は、リン酸欠乏順化能変異株psr1では有意に低かった(PSR1遺伝子産物はリン酸欠乏ストレスのシグナル伝達に関与するMyb-likeな転写因子である)。このことは、CrPT1の遺伝子の転写の抑制がPSR1遺伝子産物によって制御されていることを示す。
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