2001 Fiscal Year Annual Research Report
真核光合成生物のリン酸欠乏ストレスに対する順化機構の分子遺伝学的解明
Project/Area Number |
12640637
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
下河原 浩介 帝京大学, 医学部, 講師 (60226272)
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Keywords | リン酸トランスポーター / リン酸欠乏 / クラミドモナス / Chlamydomonas reinhardtii / 転写制御 / 環境応答 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
1.前年度に引き続き、クラミドモナスより酵母のH+/Pi co-transporter遺伝子(PHO84)のホモログの探索をおこない、第3番目のホモログのクローニングに成功した。その結果、クラミドモナスでは、このタイプのリン酸トランスポータ遺伝子(PTAと命名)は、PTA1,PTA2,PTA3の3種類存在することが明らかとなった。これらは相互にアミノ酸配列レベルで80%以上の極めて高い相同性を示した。PTA1およびPTA3は,細胞のP欠乏3時間以内にその転写が完全に抑制された。一方,P欠乏3時間処理ではPTA2の転写量に変化は見られなかった。ジェノミックサザン解析およびノーザン解析の結果,クラミドモナスには,PHO84ホモローグはこれらを含め3または4種類しか存在しないこと,3種の遺伝子の+P状態での転写量は,1>3>2の順であること,さらに,P欠乏処理で誘導のかかるようなPHO84ホモローグは存在しないことが判明した。 2.本年度、新たにクラミドモナスより、酵母のNa+/Pi co-transporter(PHO89)のホモログとなる遺伝子を2種類(PTBと命名)クローニングに成功した。PTB1は、クラミドモナスのヒ素耐性変異株の原因遺伝子としてクローニングされPTB2は、PTB1のホモローグとしてクローニングされた。両遺伝子のリン酸欠乏での転写調節を調べた結果、PTB1の転写量はPTB2と比較して遙かに少ないこと、また,PTB2の転写量は-P処理で強く誘導されることが判明した。PTB2以外にはP欠乏で誘導のかかるPTAもしくはPTBホモローグは存在しないことから、クラミドモナスにおいては,PTB2がリン酸欠乏時に誘導のかかる高親和型リン酸トランスポーターをコードしていることが強く示唆された。
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