2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640677
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
真山 茂樹 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (40199914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南雲 保 日本歯科大学, 歯学部, 助教授 (70120706)
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Keywords | 珪藻 / 殻形成過程 / 多様性 / Fragilaria / Navicula / Luticola / Pleurosira / 増大胞子 |
Research Abstract |
本年度の研究では羽状無縦溝珪藻Fragilaria mesolepta、羽状双縦溝珪藻Navicula sp.、 Luticola goeppertiana、および中心珪藻Pleurosira laevis、 Actinocyclus sp.、羽状単縦溝珪藻Cocconeis sp.の殻の形成過程を明らかにした。従来、中心珪藻と羽状珪藻は異なる殻の体制を持つとされていたが、Fragilariaの形成初期の段階では、中心珪藻特有とされる中心環を数個縦列させたような構造が見つかり、これが形成過程で伸長しながら1本に融合し中肋を形成することが判明した。この発見は、中心珪藻から羽状無縦溝珪藻が進化したという系統上の仮説を、形態の面から具体的に支持する最初のものである。また、近年Naviculaからの分割が提唱されたLuticolaは殻面の胞紋形成の様式が、Naviculaとはまったく異なり、殻肩周囲が最初に形成された後、求心的に胞紋が作られることがわかった。これに対しNaviculaでは殻面全体にわたり、縦走枝が同時に横走枝から伸長し、全ての胞紋がほぼ同時に形成される点で異なっていた。また、Naviculaの完成殻内面には発達した肋が縦溝中肋の一次側に見られるが、この肥厚は、殻形成の初期の段階から生じていることがわかった。また、Naviculaの完成帯片は無紋であるが、形成途上では規則正しい数多くのスリットを持つフリンジ状構造をとるが、やがてケイ素の沈着によって埋められていくこともわかった。一方Luticolaの帯片形成では、Naviculaに見られるようなフリンジ状構造はとらず、不定形の深裂の構造体が初め作られ、それが次第に融合して中脈部に胞紋列を持つ帯片を形成した。これら2属の殻形成様式における著しい相違は、系統学上でも十分に反映されるべきであろう。またPleurosiraでは増大胞子および初生殻の形成とその形態の観察に成功し、中心珪藻における属の位置の明確化に、更なる情報を与えることができた。
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[Publications] Mayama,S.,Nagumo,T.& Kuriyama,A.: "Isolation and identification of endosymbiotic diatoms from planktonic and benthic species of foraminifera."Diatom. 16. 3-10 (2000)
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[Publications] Watanabe,M.M.,Mayama,S.,Hiroki,M.& Nozaki,H.: "Biomass, species composition and diversity of epipelic algae in mire pools."Hydrobiologia. 421. 91-102 (2000)
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[Publications] 南雲保,真山茂樹.: "珪藻類の分類と系統."月刊海洋. 号外・21. 35-45 (2000)
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[Publications] 南雲保,真山茂樹.: "沖縄県瀬底島沿岸の海産珪藻類."Diatom. 16. 11-17 (2000)
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[Publications] Abe,S.,Nagumo,T.& Tanaka,J.: "Effect of current on the development of loosely and tightly attached layers in periphyton communities."Phycol.Res.. 48. 261-265 (2000)
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[Publications] 鈴木秀和,南雲保.: "富山湾深層水で自然繁茂する珪藻."Bull.Toyama Pref.Res.Inst.. No.12. 33-42 (2000)