2001 Fiscal Year Annual Research Report
モンシロチョウにおける配偶者認知鍵刺激(紫外色)の進化
Project/Area Number |
12640678
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小原 嘉明 東京農工大学, 農学部, 教授 (60014958)
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Keywords | モンシロチョウ / 配偶行動 / 配偶者認知 / 季節型 / 紫外色 / 行動多型 / 鍵刺激 |
Research Abstract |
昨年度までのモンシロチョウ雌の翅漂本を用いた研究によって,英国産モンシロチョウの雄は,「黄色っぽい日本産雌(紫外色あり/なし?)>英国産雌(紫外色なし)>(白っぽい)長日型の日本産雌」の順に強い配偶行動を示すことが分かっている.しかしモンシロチョウの翅の色は可視領域の視覚的特徴が成長条件によって変化すること,紫外色についても同様の可能性があることから,今年度は紫外色を含む両亜種の雌の翅の色(雌特定の鍵刺激)に対する成長条件の影響と,それに対する雄の配偶行動を実験的に解析した. その結果,(1)英国産モンシロチョウの雌の翅の色は,長日条件下でも黄色でかつ紫外色がないこと,したがって日本産及び英国産雌の翅の色の違いは成長条件によるものではないこと,(2)これはドイツ産モンシロチョウにおいても同じであることが分かった.また(3)日本産雌の翅は短日条件下では黄色が強くなると同時に紫外色が弱くなり,英国産雌と目本産長日型雌の中間の色になることが分かった.一方,日本産雄がこれらの異なる色の日本産雌の翅標本に対していかに反応するかを調べた結果,(4)日本産モンシロチョウの長日型雄は短日型の雌よりは長日型の雌を選好すること,それに対して,(5)日本産モンシロチョウの短日型雄は長目型雌より短日型雌を選好すること,これから(6)日本産雄の配偶者選好は雌の季節的変化に平行して変化することが示唆された.(7)これらの事実は日本産モンシロチョウと英国産モンシロチョウは春または秋シーズンにおいて,あるいは夏季でも冷涼な高地においては,交雑する可能性があることを示唆する.
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[Publications] Hirota, T., Hamano, K., Obara, Y.: "The influence of female post-emergence behavior on the time schedule of mate-locating in Pieris rapae crucivora."Zoological Science. 18. 475-482 (2001)
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[Publications] Sasaki, K., Obara, Y.: "Nutritional factors affecting the egg sex ratio adjustment by honeybee queen."Insectess Sociaux. 48. 01-05 (2001)