2001 Fiscal Year Annual Research Report
ゴンドワナ分布裸子植物Podocarpus(マキ科)における系統進化学的研究
Project/Area Number |
12640681
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
瀬戸口 浩彰 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (70206647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝川 毅守 千葉大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50213682)
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Keywords | マキ科 / Podocarpus / 南半球 / 生物地理 / 分子系統 / ゴンドワナ大陸 |
Research Abstract |
マキ科のイヌマキ属(Podocarpus)は約90種が知られるマキ科最大の属である.その大部分が南半球に分布しており,一部ではアジアとメキシコで北半球に入り込んでいる.本研究では1.マキ属の範疇と外群を明らかにするためにマキ科の分子系統を行うとともに,2.入手できたマキ属構成種45種を対象にして葉緑体DNAのmatK遺伝子を解析して種間の系統関係を明らかにした.その結果マキ属は,これまでに提唱されてきたAfrocarpus, Nageia, Retrophyllum, Decussocarpusと単系統群を形成しており,マキ属を広義にとらえても狭義に捉えても問題はないことが判明した.その系統関係((Afrocarpus, Nageia), (Decussocarpus, Retrophyllum), Podocarpus)であった.そこで本研究ではマキ属の範疇を狭義として捉えたうえでAfrocarpus, Nageia, Retrophyllum, Decussocarpusを外群にして種間の系統解析を進めた.マキ属の系統は葉の形態(広葉・狭葉)を大きく反映しており,このグループがそれぞれ南半球各地域で適応放散を起こしたことが示唆された.これらの分化は少なくともゴンドワナ大陸が分断する白亜紀までには完了していたことになる.南米やオーストラリア,アフリカ大陸における広葉・狭葉の各グループはそれぞれの地域ごとに分化したこと,北半球側にも入り込んでいるメキシコのグループやアジアの種群は,それぞれ南米とオセアニアマレシア地域の種群から分化したことが示唆された.
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