2000 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンド薄膜中の不対電子の構造の解明とその低減化
Project/Area Number |
12650009
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
渡辺 一郎 金沢大学, 工学部, 教授 (70019743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
作田 忠裕 金沢大学, 工学部, 教授 (80135318)
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Keywords | ダイヤモンド薄膜 / ESR / 欠陥 / 配向膜 / スピン密度 / プラズマCVD |
Research Abstract |
ダイヤモンド薄膜中の常磁性欠陥の正体を解明し、出来るだけ常磁性欠陥の少ないダイヤモンド薄膜を合成することを目的とする。研究計画の初年度として、先ず、欠陥の正確な把握に取り組む。また、膜を配向結晶粒で構成すると,低欠陥化を図れるのではないかと思い,バイアス印加マイクロ波プラズマCVD法で,メタン、二酸化炭素、水素を原料として,シリコン(100)基板上に(100)配向ダイヤモンド膜を作製した。これらの膜を評価したところ,以下のことが明らかになった。 1.(100)配向膜中のH1センター(水素と炭素ダングリングボンドの複合欠陥)を水素雰囲気中で1400℃の温度でアニールを行ったが、ESR波形、スピン密度に変化はなかった。 2.メタンと二酸化炭素を原料に使って、通常より高電力、高圧力でダイヤモンドを堆積させると、H2センターが現れる。これまで、このセンターの出現条件、構造は不明であったが、酸素が関与しているのではないかと考えられる。また、真空中、水素中の500℃の温度でのアニールによりH2センタは消失する。 3.通常のH1センターを含むESRスペクトルはH1センターだけでは説明がつかず、その他に2つのシグナルを重ねる必要がある。 4.H2センターとH1センターは共存しないと考えられる。 5.高配向膜では圧縮性応力がかかり,かえってスピン密度が増加する傾向がある。圧縮性応力がかからない製膜法を検討する必要がある。
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