2000 Fiscal Year Annual Research Report
高速水素のチャネリングを用いた結晶面及び表面からの距離依存励起確率の導出
Project/Area Number |
12650052
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
鈴木 康文 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (00196784)
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Keywords | 超高真空 / スパッタリング / 清浄表面 / イオン加速器 / 中性化 / イオン励起 / 単結晶薄膜 / イオンチャネリング |
Research Abstract |
本年度は本研究課題の1つであるMeV領域の水素イオンをAl単結晶試料に面チャネリングの条件で入射し,透過イオンの中性フラクションの入射角依存性を測定することを目的とし,以下の準備を進めた。 第1に,昨年度作製し高真空で試験を繰り返したArスパッタイオン銃を超高真空装置に取付,試料を超高真空に保ったときに得られるArビーム量を調べた。数時間で数100Å削るために必要な数100nA/cm^2程度のArビームを得るためには,イオン銃内のガス圧を高くせねばならず,その結果試料付近での真空度も悪くなる。試料付近を10^<-8>Torr台の真空に保ったときには15nA/cm^2程度のArビームしか得られなかった。これ以上Arガスをイオン銃に挿入すれば,スパッタイオンポンプから逆にArガスの放出が起こり,真空度が脈動を起こす結果になった。このためイオンポンプを排気速度40l/sのものから300l/sのものに交換した。これとともに,散乱槽本体を小型ICF152チェンバーから,中型ICF253チェンバーへ交換した。ビューポートを2つ取り付け,チェンバーの外から試料の様子がよく見えるようになった。また,ベーキングの後10^<-10>Torrの真空がたやすく得られるようになった。イオン銃はゲートバルブを介してとりつけたので,銃運転後,中に残る不要なArガスを速やかに排気できるようになった。しかし,試料までの距離が遠くなったため,Arビームが発散し,試料付近が10^<-10>Torr台の真空で,3nA/cm^2程度のビームしか得られていない。ビームの集束方法に問題を残す結果になった。尚,これを用いた初回のチャネリング実験は本年3月に予定している。 第2に,Alエピタキシャル薄膜を作製し,透過型電子顕微鏡を用いて,薄膜の結晶性を丹念に調べ直した。十分大きな単結晶領域をもつエピタキシャル薄膜はなかなか得られなかったが,目的のチャネリング実験には問題がないと予想している。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Y.Susuki,H.Nakano,K.Katsura,and T.Ikeda: "Neutral Fraction of Ions Penetrated through a Thin Aluminum Foil at Small-Angle Incidence of Fast Protons"Journal of the Physical Society of Japan. Vol.70No.4(発表予定). (2001)