2002 Fiscal Year Annual Research Report
高速水素のチャネリングを用いた結晶面及び表面からの距離依存励起確率の導出
Project/Area Number |
12650052
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
鈴木 康文 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (00196784)
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Keywords | 超高真空 / スパッタリング / イオン加速器 / 清浄表面(1セル追加) / イオン励起 / 中性化 / エピタキシャル薄膜 / イオンチャネリング |
Research Abstract |
UHV散乱槽内に入れた試料のAlエピタキシャル薄膜に,奈良女子大学理学部の加速器より600keVに加速したH^+イオンを(100)面チャネリングの条件で入射した。試料薄膜は,その表面がビームに対しほぼ90°に向いているものと,30°に向いているものの2つであり,Arイオンでのスパッタリング及びアニールを繰り返し行うことで,ビーム出射面を清浄化した。チャネリング付近での出射イオン中の中性フラクションを測定した結果,2つの膜ともにチャネリングによって減少した。さらに,試料を取り替え,400-800keV陽子ビームを用い,それまでの600keVのデータを追試するとともに,これらの結果のエネルギー依存性を調べた。90°に向けた膜では,中世フラクションはランダム入射に対する値の82±13%であり,この比の値はエネルギーによらなかった。30°に向けた膜では,低エネルギー側で50%程度であるが,高エネルギーになるに連れ90°に向けた膜の比の値に漸近する傾向がみられた。 一方,清浄表面から出射するチャネリングイオンの中性フラクションをイオン軌道とともに計算した。チャネリングイオン中の中性フラクションの角度依存を表面の影響を無視して計算した結果,2つの膜ともにチャネリングでランダムのときの65%程度に減少した。この計算に,イオンが真空中に出た後の表面原子との衝突による寄与を加えた。現在のところ基底状態の水素原子しか取り扱っていないが,表面原子との衝突による寄与を加えることにより,実験結果に非常によく似たエネルギ依存性が再現できた。 尚,本年3月の日本物理学会に於いて,これらの結果の発表を予定している。
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Research Products
(1 results)