石油貯留層中の3次元水圧破砕き裂に対する積分方程式の誘導に関する研究

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12650068
• Research Institution: Iwate University
• Principal Investigator: 倉茂 道夫 岩手大学, 工学部, 教授 (20005416)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 今井 和郎 岩手大学, 工学部, 助手 (70113850)
• Keywords: 多孔質弾性体 / 水圧破砕 / 地下き裂 / 地殻応力 / 石油 / 積分方程式 / 基本解 / せん断荷重

Research Abstract

石油の生産性を高めるために,多くの石油井では,水圧破砕処理が行われる。この水圧破砕過程のシミュレータの開発が古くから行われてきたが,従来は,石油貯留層を弾性体と見なしたシミュレータ(多くは2次元)が開発されてきた。報告者らは,石油貯留層をより良く模擬できる「流体(石油や破砕流体)で飽和した多孔質弾性体(貯留層岩石)」としてモデル化した3次元のき裂に対する積分方程式を誘導し(1992),それらは実際のシミュレータに組み込まれて一定の成果を上げてきた。しかしそこでは,き裂面への荷重は垂直荷重のみを考え,また,石油貯留層の岩体の弾性定数も透水率も等方性と仮定していた。
実際の石油貯留層では,透水率や弾性定数が異方性を示すことが知られており,貯留層内の弱面に沿ったき裂の場合には,垂直荷重ばかりではなくせん断荷重も考慮しなければならない。そこで,本研究では,実際の石油貯留層をより正しく模擬するために,各種の異方性を考慮した積分方程式およびせん断荷重をも考慮した積分方程式を誘導することを目的とした。
平成12年度では,等方性多孔質弾性体中の,せん断応力も含む任意荷重を受ける任意形状平面き裂(石油貯留層中の弱面に沿って進展する水圧破砕き裂,または,活断層のクリープ滑り現象への適用を想定)に対し
(1)等方性多孔質弾性体に対する基本解を求めた。
(2)せん断応力も含む任意荷重を受ける任意形状平面き裂に対する積分方程式を誘導した。