2002 Fiscal Year Annual Research Report
表面創製による高機能性付与材料の開発とその超長疲労強度信頼性評価
Project/Area Number |
12650077
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Research Institution | Toyama University |
Principal Investigator |
塩澤 和章 富山大学, 工学部, 教授 (90019216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡根 正樹 富山大学, 工学部, 助手 (90262500)
西野 精一 富山大学, 工学部, 助教授 (00218174)
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Keywords | 超長寿命疲労 / 表面改質 / 窒化 / ショットピーニング / 内部き裂 / コンピュータ・シミュレーション / 高速度工具鋼 / 低合金鋼 |
Research Abstract |
平成12〜13年度に実施した高炭素クロム軸受鋼SUJ2の超長寿命疲労試験の結果,表面き裂発生型と内部き裂発生型の2種類のS-N曲線が共存する二重S-N曲線の存在が確認された.これら二本のS-N曲線は出現する疲労寿命域によって4種類のS-N曲線に分類されまた表面処理の状況によって同じく4種類に分類されることを指摘した. 本研究では,二重S-N曲線の存在とその様式を更に検討するため,高速度工具鋼SKH51,低合金鋼SCM435およびSNCM439,更にはこれらにショット・ピーニング処理あるいはプラズマ光輝窒化処理を施した試験片を用いて超長寿命疲労試験を実施した.その結果,SKH51ではSUJ2とは異なった様式のS-N曲線が得られた.即ち,高応力振幅域における表面き裂発生型破壊から低応力振幅域における内部き裂発生型破壊が連続的に出現し,破壊モードの遷移する寿命域が消失する傾向を示した.SCM435のS-N曲線は低温焼戻し材およびショット・ピーニング処理材においてSUJ2と同様な特性を示した.SNCM439の600℃焼戻し材では10^9回までの疲労において内部き裂発生型疲労破壊は認められなかった.しかし,窒化処理によって超長寿命域で内部き裂発生型疲労破壊が現れた.この現象は二重S-N曲線の概念を用いて説明でき,供試材の有する内部き裂発生型疲労破壊のS-N曲線の存在と出現寿命を予測する上で,表面改質材を用いることの有効性を示す結果となった. 超長寿命域で現れる内部き裂発生型破壊は非金属介在物を起点として発生し,その介在物周囲にはSEM観察の結果,白く輝いた粒状の領域が認められた.この領域をGBF(Granular Bright Facet)と命名し,破壊力学的検討を行った.その結果,GBF領域は疲労の早期に発生し,その進展に全寿命の90%程度を要することが明らかとなり,超長寿命域の疲労破壊を支配する重要な因子であることを指摘した. GBF領域の形成機構を検討するため,FRASTA法による破壊のコンピュータ・シミュレーションを行った.その結果,介在物周囲に存在する微細な炭化物が疲労過程中に基材から剥離して多数の微小き裂を生成し,それらにき裂の連結・合体によってGBF領域が形成され,その後GBFを起点として通常の疲労き裂が発生・進展するものであることが明らかとなった.本研究を通してGBF形成の機構として「微細炭化物の離散剥離説」を提案した.
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Research Products
(10 results)
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[Publications] K.Shiozawa, L.Lu: "Very High Cycle Fatigue Behaviour of Shot-Peened High Carbon-Chromium Bearing Steel"Fatigue & Fracture of Engineering Materials & Structures. 25・8/9. 813-822 (2002)
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[Publications] 魯 連涛, 塩澤和章: "高炭素クロム軸受鋼の超長寿命疲労挙動に及ぼす二段二重変動荷重の影響と内部き裂進展挙動"日本機械学会論文集,A編. 68・675. 1666-1673 (2002)
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[Publications] 魯 連涛, 塩澤和章: "高速度工具鋼の超長寿命疲労強度特性に及ぼす表面処理の影響"日本材料学会第51期学術講演会講演論文集. 273-274 (2002)
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[Publications] 塩澤和章, 丸山 宏, 遅 愛娜: "SNCM439鋼の超長寿命疲労挙動とショットピーニングの影響"日本機械学会平成14年度材料力学部門講演会講演論文集. No.02-05. 579-580 (2002)
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[Publications] 塩澤和章, 森井祐一, 西野精一, 魯 連涛: "介在物を起点とする高硬度鋼の内部疲労き裂の発生・進展機構"日本材料学会第26回疲労シンポジウム講演論文集. 141-144 (2002)
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[Publications] K.Shiozawa, S.Nishino, K.Yamamoto, L.Lu: "Topographic Analysis for Subsurface Crack Initiation and Propagation of High Strength Steel in Gigacycle Fatigue"Proceedings of the Eighth International Fatigue Congress. 5. 2939-2946 (2002)
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[Publications] Y.Haruyama, S.Kawamura, Y.Kimura, K.Shiozawa: "Performance evaluation of duplex treated tool steel sliding against aluminum alloy under oxidation-limited condition"10^<th> Nordic Symposium on Tribology. (CD-ROM). Reg.Nr211 (2002)
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[Publications] 魯 連涛, 塩澤和章, 森井祐一: "高速度工具鋼SKH51の超長寿命疲労挙動と破壊形態"日本機械学会論文集,A編. 69・679(掲載予定). (2003)
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[Publications] 花田竜一, 塩澤和章, 岡根正樹: "SCM435鋼の超長寿命疲労特性と窒化処理の影響"日本機械学会北陸信越支部第40期総会・講演会講演論文集. No.037-1(発表予定). (2003)
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[Publications] 呉 友諠, 塩澤和章, 岡根正樹, 今 裕文: "A6151およびA2014アルミニウム合金の疲労挙動に及ぼすショット・ピーニング処理の影響"日本機械学会北陸信越支部第40期総会・講演会講演論文集. No.037-1(発表予定). (2003)