2000 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性プラスチックの非弾性変形・強度に関する研究
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12650098
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
金子 堅司 東京理科大学, 工学部, 教授 (40016803)
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Keywords | 生分解性ポリマー / 非弾性変形 / 温度依存性 / 過応力 / 応力緩和 / 粘性 |
Research Abstract |
環境に優しい生分解性プラスチック材料の、まだほとんど解明されていないけれども利用上不可欠なその変形・強度特性を温度依存性などを考慮して系統的かつ正確な実験によって調べ、明らかにした。すなわち、 本年度は、室温〜70℃近辺までの中温度下でPCL/でんぷん系(商品名マタービー)・脂肪族ポリエステル(ビオノーレ)・脂肪族ポリカーボネート(ユーペック)・微生物ポリエステル(バイオポール)・ポリ乳酸系(ラクティ)および酢酸セルロース系(セルグリーン)の各生分解性プラスチックの変形・強度特性の温度および速度依存性を単軸応力下で調べた。 (1)単軸引張り下での塑性変形特性と応力緩和特性に及ぼす温度と速度効果を実験的に調べ、過応力モデルに基づく非弾性構成式を構築した。 (2)実験温度及びひずみ速度範囲:室温〜70℃、10^<-2>〜10^<-4>/s (3)引張りひずみ範囲:最大10%(破断した場合を除く) (4)実験では板状単軸試験片を作製し、コンピュータ制御の島津製作所社製単軸疲労試験システム(サーボパルサー)を用いた。 (得られた結果)ラクティが弾性率、強度共に際立って優れ、温度や速度依存性が小さい。しかし、変形挙動は脆性的で伸び1%で破断した。 ユーペック、セルグリーン、ビオノーレも速度依存性が小さいが温度依存性は大きく70度近辺でかなり柔らかい挙動。バイオポールとマタービーは温度および速度依存性が共に明確でポリプロピレン(PP)などと同様の過応力モデルによる定式化が可能である。しかし、マタービーは70度では半溶融状態となる。結果としてバイオポールがPPと比肩するバランスの良い変形強度特性を持っていることが分かった。
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