2001 Fiscal Year Annual Research Report
高並列ハイブリッドシミュレーテッドアニーリングによる構造システムの最適化
Project/Area Number |
12650100
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
三木 光範 同志社大学, 工学部, 教授 (90150755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣安 知之 同志社大学, 工学部, 専任講師 (20298144)
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Keywords | 最適化 / シミュレーテッドアニーリング / 並列処理 / PCクラスタ / アプリケーション / 遺伝的アルゴリズム / 構造システム / 並列分散モデル |
Research Abstract |
近年,多くの分野で複雑な最適化問題の解法が重要な課題となっている.このためには従来の数理計画法だけでなく,遺伝的アルゴリズム(GA)やシミュレーテッドアニーリング(SA)など,進化的手法や確率的手法が有効であり,現実の問題解決に利用されはじめている.しかし,これらの方法は膨大な繰り返し計算を基礎としており,計算の並列化により計算時間を短縮することは急務である.本研究で,種々の複雑な最適化問題に有用なSA手法の並列化を対象とし,高い並列性を持ち,良質な最適解を高速に得ることのできる新しいアルゴリズムの提案を行い,連続および離散的変数を持つ複雑な構造システムの最適化においてその有効性を実証する.平成13年度の研究成果を次に示す. 1)高並列シミュレーテッドアニーリング(SA)のためのPCクラスタの構築:各プロセッサはPentium III800MHz程度のものを16台有するクラスタを構築した.12年度に8台構成のものが完成し,本年度はさらに8台を追加して,合計で16台構成のクラスタとした.この台数で効率的に動作するためには通信ライブラリーの選定とチューニングが重要となる.本年度はこれを行い,十分な計算速度が達成できるようにした. 2)温度並列SAにおける近傍決定の適応化:連続最適化問題における最大の課題である近傍の設定に関し,新しい適応的近傍調節メカニズムを考えた.これは,エネルギー関数の変化と受理確率の変化に対応させて近傍サイズを調節するもので,これにより,局所解から脱出可能で,かつ,最短時間で探索が行えた. 3)シミュレーテッドテンパリングの可能性の追求:高温から温度を徐々に減少させるシミュレーテッドアニーリングでは温度スケジュールの設定を自動化するのは困難である.そこで,新しい試みとして,高温から急冷し,その後,温度を上げてゆく,新しい試みを提案した.これは「焼き戻し」であり,シミュレーテッドテンパリングと名付けた.
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[Publications] 三木光範, 廣安知之, 笠井誠之, 小野景子: "適応的近傍を持つ温度並列シミュレーテッドアニーリング"情報処理学会論文誌. 42・4. 745-753 (2001)
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[Publications] 三木光範, 廣安知之, 吉田武史, 窪田耕明, 小野景子: "進化的シミュレーテッドテンパリング-新しいヒューリスティックサーチ-"電子情報通信学会「人工知能と知識処理」研究会論文集. (2001)
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[Publications] 三木光範, 廣安知之, 実田健, 吉田武史: "適応的温度探索に基づくSAの高速化"情報処理学会第63回全国大会講演論文集. I-109-I-110 (2001)
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[Publications] 三木光範, 廣安知之, 小野景子, 吉田武史, 窪田耕明: "適応的シミュレーテッドアニーリング"日本機械学会第14回計算力学講演会講演論文集. 325-326 (2001)
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[Publications] 三木光範, 廣安知之, 小野景子, 窪田耕明, 吉田武史, 実田健: "連続/離散的最適化問題に対する適応的シミュレーテッドアニーリング"情報処理学会第64回全国大会講演論文集. (2002)
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[Publications] 三木光範, 廣安知之, 吉田武史, 実田健: "進化的シミュレーテッドテンパリング"情報処理学会MPSシンポジウム論文集. 351-354 (2001)