2000 Fiscal Year Annual Research Report
MA機能粉末による形状記憶素子の作製とその制御法に関する研究
Project/Area Number |
12650103
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
京極 秀樹 近畿大学, 工学部, 教授 (10258056)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 眞一郎 近畿大学, 工学部, 教授 (70140316)
|
Keywords | 形状記憶合金 / Ti-Ni-Cu合金 / メカニカルアロイング / 放電焼結法 / 引張特性 / 超弾性 / 回復応力 / 回復ひずみ |
Research Abstract |
本研究では,メカニカルアロイング(MA)法によりCuなどの第三元素あるいはZrなどの微量元素を添加するなどTiNi系機能粉末の材料設計・作製を行い,これらの粉末を用いて作製した合金の形状回復応力,熱サイクル疲労強度などの形状記憶特性について形状記憶特性試験機を試作して系統的に調査・検討することを目的にしている.まず,本年度は原料粉末としてTi,NiおよびCu粉末を用いてボールミーリングによるTi-Ni-Cu系混合粉末を利用して放電焼結法により焼結体を作製した.これらの方法により得られた焼結体の機械的性質について調べるとともに形状記憶素子作製のための基礎となる形状記憶特性について調べた.さらに,これらの粉末に対するMA条件について検討し,次の結果を得た. (1)Cu添加量を8.5at%〜30.0at%と変化させた場合,20at%Cuで最も高い密度を示したが,いずれの合金の場合にもTi-Ni合金よりも均一化が困難であった. (2)Ti-Ni-Cu溶体化処理体の引張特性についてみると,20at%Cuの試料において引張強さ500MPa程度,伸び7%と優れた値が得られるとともに,Ti-Ni合金と比べると変形抵抗がかなり低くなり,溶解材に近い特性が得られた. (3)回復ひずみ試験の結果,Cu量の増加に伴いA_s点が高くなる傾向を示し,逆変態域も多少狭くなった.等温引張試験の結果,超弾性に近い変形挙動を示した.また,回復応力試験の結果,変形抵抗が非常に低く,回復応力350MPa,実用回復応力250MPa以上の優れた回復応力を充分に取り出せることがわかった. 以上のように,Cu添加によってTi-Ni合金より変形抵抗が低くなるため疲労強度の向上が予測され,また実用回復応力が高くなり形状記憶特性の改善ができた.このように,形状記憶素子への適用の可能性を確認できた.
|
Research Products
(1 results)