2000 Fiscal Year Annual Research Report
潤滑油すす・異物懸濁下の動荷重すべり転がり面トライボロジー特性の研究
Project/Area Number |
12650151
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
副島 光洋 九州産業大学, 工学部, 教授 (40037990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江島 良人 九州産業大学, 工学部, 助手 (50069548)
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Keywords | Internal Combustion Engine / Valve Train / Friction / Cam Follower / Flat Tappet / Roller Tappet |
Research Abstract |
内燃機関では、資源節約や地球環境問題に対し、燃費改善と排気ガス浄化のためのマルチグレード低粘度低フリクション潤滑油の適用による摩擦損失低減、EGR率の増大によるNOx排出削減などの方策がとられる。しかしエンジン要素しゅう動部では、油膜厚さが薄くなりEGRすす・異物混入の影響で摩耗・焼付き損傷が増えトライボロジー問題が深刻化しつつあり、学術・技術両面から合理的な解決策を必要としている。すなわち、ピストンのリングやスカートとシリンダ、軸と軸受、カムとフォロワのような衝撃的な変動荷重の下で往復・すべり接触や転がり・すべり接触する要素部は、低粘度マルチグレード油の適用に伴うサブミクロンEHL膜厚とすす異物混入の影響で、摩擦は増大し、摩耗などの表面損傷が起こりやすくなる。そこで、薄いEHL膜厚の下での粘性せん断流れ場の動的変化、すす異物の接触面間介在状態など、摩擦や摩耗の支配因子を実験と理論の両面から調べ、摩擦・摩耗のメカニズムを明らかにし、摩擦低減と摩耗・焼付き損傷発生防止のための設計基準などを検討している。 研究は、ピストン・シリンダやカム・フォロワの接触面を摸擬した変動荷重すべり転がり潤滑面可視化装置の製作、低粘度エンジン油潤滑膜の挙動、すす異物混入の懸濁油潤滑における粘性せん断流れ場すす異物分布のダイナミック挙動の観察、また表面における摩耗形態とトライボ反応膜のSEMやEPMAによる観察・分析、さらに動荷重EHLと懸濁油潤滑の各理論による油膜圧力・厚さ分布の解析などを通して、混入すす異物の粒径分布、オイル・スタベーションの発生、オイル粘度増大の影響、添加剤効力の変化、すす含有量や材質・硬さと摩擦や摩耗、EHL膜厚と摩耗分布や表面性状の諸関係から、各要素部品のもつ変動荷重・速度条件で変わるすす異物混入・懸濁オイルの潤滑特性や接触部表面性状と摩擦摩耗の関係を調べ、摩擦摩耗の因子・メカニズムを解明し、摩擦低減と摩耗・焼付き損傷防止の方策を検討できる方向へ進展しつつある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 副島光洋,江島良人,福田清高,川崎将隆: "カムとタペットのトライボ特性に関する実験的研究(第4報:エンジン油劣化の影響)"九州産業大学工学部研究報告. 37. 11-16 (2000)
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[Publications] 副島光洋,江島良人,福田清高,上森健司: "カム・タペットのトライボ特性に関する実験的研究(第10報:エンジン油すす混入の影響)"九州産業大学工学部研究報告. 37. 17-22 (2000)
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[Publications] 副島光洋,和栗雄太郎,江島良人,村瀬達也,福田清高,川崎将隆: "動弁系カム・タペットの摩擦特性に関する研究"自動車技術会論文集. 32・1. 53-58 (2000)
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[Publications] 上森健司,福田清高,副島光洋,江島良人: "カム・フォロワの摩擦特性に関する研究(エンジン油すす混入の影響)"自動車技術会学術講演会前刷集. 80-00. 7-10 (2000)
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[Publications] 川崎将隆,福田清高,副島光洋,江島良人: "動弁系カム・タペットの摩擦特性に関する研究(エンジン油性状・劣化の影響)"自動車技術会学術講演会前刷集. 80-00. 11-14 (2000)
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[Publications] 江島良人,村瀬達也,福田清高,副島光洋: "カム・フォロワの摩擦特性に関する研究(エンジン油すす混入の影響)"日本機械学会2000年度年次大会講演論文集. 00・1. 349-350 (2000)