2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12650160
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
増田 渉 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (80143816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 正太郎 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (10282576)
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Keywords | 超音速よう素レーザー / 化学レーザー / Qスイッチ発振 / 数値計算 |
Research Abstract |
超音速流よう素レーザ(SCOIL)のQスイッチ(パルス)発振は、実用化の可能性が実証されているが、その発振特性には不明な点が多い。本研究は、その特性を、数値シミュレーションによって解明し定量化することを目的とする。定量的評価を行うためには、より精密な化学反応モデルと光学モデルを適用して計算を行い、SCOILのQスイッチ発振の詳細なメカニズム、レーザ発振と流れ場の干渉現象、レーザビームの質(モード)などを調べることが必要である。特に、回折やビームの質などの光学的な特性を評価するためには、幾何光学では不十分であり、波動光学の計算が不可欠である。本年度は、まず、波動光学の計算を確立するため、非定常近軸波動方程式を導出し、これを用いて新たに光学計算のコードを開発した。流体計算については、計算負荷軽減のため、ナビエ・ストークス方程式を解いた3次元の結果を基に、1次元に単純化して解析を行った。光学計算のタイムステップを3.3ps、流体計算のタイムステップを1nsとし、これらを組み合わせ、本年度導入した高性能・大容量ワークステーションを用いて計算を行うことにより、Qスイッチ発振の詳細な挙動を評価した。その結果、今回計算を行ったレーザシステムでは、回折損失を考慮できる波動光学のレーザー出力の計算が、回折損失を考慮しない幾何光学の計算に比べ、低い出力ピーク値を示し、回折損失が9%程度であることがわかった。一方、流体の状態やレーザ出力の時間変化などの定性的な挙動については、回折の考慮の有無による違いはほとんどなかった。また、波動光学を用いることによって、レーザの質を表す重要な指標である発散半角を計算することが可能となり、Qスイッチ発振の出力ピーク時におけるレーザの質が、定常発振時のそれと比べて、やや劣っていることが分かった。
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