2003 Fiscal Year Annual Research Report
環境圧力の変化を受ける生体組織中の気泡生成と気泡塞栓に関する研究
Project/Area Number |
12650174
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
辻野 智二 熊本大学, 教育学部, 教授 (80006197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井小萩 利明 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (90091652)
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Keywords | 気泡塞栓 / 人工弁 / 気泡 / キャビテーション / 大動脈弁 / 僧帽弁 / 拍動流 / 血液ポンプ |
Research Abstract |
生体組織中における気泡生成の問題に関連して、人工弁まわりで発生する気泡の動的特性について検討した。ここでは、試作した開放式拍動流型試験装置を用いて、大動脈弁および僧帽弁まわりで発生するキャビテーション現象を実験的に明らかにした。本試験装置は、高圧タンク側および真空ポンプ側の両圧力制御弁の弁開度、加圧・減圧電磁弁の解放時間を各々400msおよび600msに設定することにより、流量Q=5L/min、拍動周期1Hz,最高血圧160〜180mmHgの好適な圧力波形が再現され、ヒト心臓の生理的拍動条件を十分満足することが確認された。その拍動流条件下で、臨床使用例の多い機械式2葉弁であるSJM弁まわりのキャビテーション気泡の発生現象を高速ビデオで観察・検討した。その結果、以下のことが明らかにされた。 (1)僧帽弁上流および大動脈弁上流において、弁閉鎖時にキャビティが上流側に向かって爆発的に発生する。そのキャビティは、瞬時に微細な気泡群となって分散し、逆流する。キャビティの発生は、弁閉鎖時における高速逆流ジェットとウォーターハンマーの影響によるものと考えられた。 (2)僧帽弁および大動脈弁の解放時において、弁下流にキャビテーション気泡が観察される。生成した気泡のサイズはd=0.2〜0.5mmの範囲のものが多く観察された。気泡の移動速度は、僧帽弁下流ではv=0.24〜0.8m/s、大動脈弁下流ではv=0.46〜1.2m/s程度である。 (3)人工弁近傍において発生するキャビテーション気泡は、血液循環系の細動静脈における気泡塞栓症および中大脳動脈血流計測時に検出されるHITSなどの要因となり得る。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 辻野智二, 井上健次郎, 大橋貴幸: "狭い隙間におけるキャビテーション損傷に及ぼすポリマー効果に関する研究"熊本大学教育学部紀要、自然科学. 52. 1-6 (2003)
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[Publications] 辻野智二, 三浦誠, 井小萩利明, 平川和美: "人工弁まわりのキャビテーション発生"キャビテーション. 12. 89-92 (2004)