2001 Fiscal Year Annual Research Report
実用乱流場におけるボルテックス・バースティングへの実験的アプローチ
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12650201
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
大岩 紀生 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (00023341)
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Keywords | 乱流予混合火炎 / 乱流燃焼速度 / カルマン渦列 / 円柱格子乱流 / 火炎と渦の相互干渉 / 火炎伸長 / トモグラフィー / 火花点火火炎 |
Research Abstract |
本研究では、"流れ方向に規則的に発生する組織構造"および"円柱列の後流"という二種類の実用的な乱流場における火炎伝播を詳細に観察し、乱流燃焼促進機構において重要な役割を果たしているボルテックス・バースティングに対する隣接渦の影響を調べることを目的としている。平成13年度の研究では、後者の高速予混合気流中に置かれた円柱列背後のカルマン渦列が支配的な擬似乱流場を対象とし、そこに定在する火炎および火花点火して得られる伝播火炎の挙動を、シュリーレン撮影、4連続高速度シュリーレン撮影およびトモグラフィー撮影により詳細に観察した。この場合、円柱の直径をd=0.3,1.2,3.0mmと変え、円柱のブロッケージ比が1/3となるように円柱列のピッチを変えた。そして、流速をU=10〜50m/sの範囲で10m/sごとに変化させることにより、乱れ強さがu'/S_L=0.38〜15.4、乱れスケールがL=1.6〜18.2mm、乱流レイノルズ数がR_T=20〜1000と変化させることができた。なお、混合気にはプロパン・空気の量論混合気を用い、火花点火のギャップを5mm、点火エネルギーを25.4mJとした。 本年度の研究で得られた結果は、以下のように要約される。 1.本研究の擬似乱流場に安定化された火炎は、通常の乱流場に形成される乱流予混合火炎の燃焼速度に比べて低く評価された。これにより、卓越したスペクトルを有するカルマン渦列が重畳する場合には、多重渦に起因する激しい混合および伸長による冷却作用が優り、乱れによる燃焼速度の促進効果は低下する。 2.火花点火後の伝播火炎には、乱れスケールの増大に伴って、局所的に細かく乱された様相から火炎全体が変形する様相まで変化する。しかし、火花点火直後の伝播火炎は熱的および化学動力学的に弱く、乱れのスケールと強さが大きい場合には、火炎伸長による局所的消炎が引き金となって火炎全体の消炎に至る過程が観察された。 3.トモグラフィー撮影による火炎の断層写真から、円柱直径に対応するスケールのカルマン渦列の存在、多重の乱れによる連続的な火炎面の変形の過程、および消炎に至る過程などを把握することができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 大岩紀生, 井狩元伸, ほか2名: "音響により励起されたコヒーレント渦構造をもつ平面せん断流における火花点火予混合火炎の伝播方向に関する研究"第11回環境工学総合シンポジウム講演論文集. No.01-12. 379-382 (2001)
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[Publications] 大岩紀生, 井狩元伸, ほか2名: "実用予混合燃焼場におけるボルテックス・バースティング現象の出現と乱流燃焼速度に与える寄与"日本機械学会2001年年次大会講演論文集. No.01-1(V). 313-314 (2001)
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[Publications] 大岩紀生, 足立崇嗣, ほか2名: "円柱格子後流における火花点火乱流予混合火炎の挙動"日本機械学会2001年年次大会講演論文集. No.01-1(V). 315-316 (2001)
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[Publications] 大岩紀生, 石野洋二郎, ほか2名: "平面せん断層に形成される渦管群における予混合火炎の伝播挙動"第39回燃焼シンポジウム講演論文集. 185-186 (2001)
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[Publications] 大岩紀生, 石野洋二郎, ほか2名: "平面予混合せん断流中の組織構造における火花点火火炎の伝播挙動(音響励起による組織構造の特性制御)"日本機械学会論文集(B編). 67・664. 3138-3188 (2001)
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[Publications] 大岩紀生, 石野洋二郎, 杉浦啓介: "平面予混合せん断流中の組織構造における火花点火火炎の伝播挙動(二方向同時撮影による火花点火火炎の光学観察)"日本機械学会論文集(B編). 68・665. 231-237 (2002)