2001 Fiscal Year Annual Research Report
サブクール沸騰の限界熱流束特性(非凝縮性気体溶解量の影響)
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12650214
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
原村 嘉彦 神奈川大学, 工学部, 教授 (80175546)
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Keywords | プール沸騰 / サブクール沸騰 / 溶存気体 / 限界熱流束 / 現象観察 / 気体溶解度 / マランゴニ対流 / 実験的研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は,サブクール沸騰限界熱流束に対する影響因子として,サブクール度のほかに気体溶解量を考慮して,主に後者が限界熱流束に与える影響を実験的に把握し,限界熱流束機構の解明に必要な情報を提供することにある. 平成12年度は,非凝縮性気体の溶解量の測定方法を確立することを柱として研究を行い,(1)気体を追い出すための昇温は,沸騰が十分起こる高めの熱流束が必要であり,また,撹拌子による撹拌を5分以上続けるのが望ましい.(2)脱気された気体は蒸気を含むので,その温度を測定し蒸気の分圧を補正する必要がある.温度測定では,液面が到達するまで感温素子に液滴を当てない工夫が必要である.を明らかにした. 平成13年度は,非凝縮性気体として空気または二酸化炭素を,試験液体として水(精製水)を用いて非凝縮気体の溶解量に対して沸騰熱伝達,限界熱流束,気液の流動状況について調べた.伝熱面には外径0.5mmの白金線を用い,下方から流速約5mm/sでサブクール度と気体溶解量を調整した水を供給する,本質的にプール沸騰と見なせる状況で実験した.その結果,以下の点を明らかにした.溶解量の実験範囲は,0.2cm^3/lからそれぞれの気体の飽和溶解量までである. (1)気体の溶解量が多いと,低熱流束では熱伝達が向上するものの,高熱流束では悪化し,低い熱流束にもかかわらず同程度の過熱度で限界熱流束を迎える. (2)気体溶解量が非常に少ない場合に比べ,溶解量が増加すると,限界熱流束が大幅に(最大5分の1まで)低下する. (3)同じ溶解量で比べると,空気の場合に比べ,二酸化炭素の場合の限界熱流束が概ね1MW/m^2高い. (4)二酸化炭素を溶解した方が限界熱流束が高いのは,沸騰によって追い出された気体を含む蒸気がサブクール液に接して急激に収縮する際,容易に再溶解して凝縮による強い液の流れを維持できるからと推測される.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Haramura: "Measurement and Control of Non-Condensible Gases for Reliable Experiment on Subcooled Boiling"Proceedings of International Workshop on Current Status and Future Direction in Boiling Heat Transfer and Two-Phase Flow. 89-94 (2000)
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[Publications] 原村 嘉彦: "サブクール沸騰の流動特性と熱伝達に対する溶存気体の影響"第38回日本伝熱シンポジウム講演論文集. 17-18 (2001)
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[Publications] 原村 嘉彦: "サブクールプール沸騰限界熱流束と伝熱面まわりの流動に対する気体溶存量の影響"第39回日本伝熱シンポジウム講演論文集. (2002)