2000 Fiscal Year Annual Research Report
ZnMgCdS系半導体量子構造における励起子分子の局在化の制御と光機能性
Project/Area Number |
12650315
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山田 陽一 山口大学, 工学部, 助教授 (00251033)
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Keywords | ワイドギャップ半導体 / 低次元量子構造 / 励起子分子 / 輻射再結合 / 局在化 / 光学利得 / 励起子工学 / 硫化亜鉛 |
Research Abstract |
励起子系、特に局在励起子分子の輻射再結合過程を利用したZnS系紫外半導体レーザを実現するために、Mg_xZn_<1-x>S混晶薄膜は活性層へのキャリアの閉じ込め効果を増大する目的で、レーザ構造の障壁層またはクラッド層として重要な役割を果たすことが期待される。本年度は、現有する減圧有機金属気相成長装置に新たにMg有機原料用バブリングシステムを導入することにより、Mg_xZn_<1-x>S混晶薄膜の成長から研究を開始した。Mg有機原料には比較的高純度な原料が得られるビスシクロペンタジエニルマグネシウム[(C_5H_5)_2Mg]を用い、水素をキャリアガスとして用いることにより成長槽に供給した。成長基板温度、VI/II供給モル比、Mg供給量を変化させた一連の試料を作製し、X線回折測定によりその結晶構造および結晶性を評価した結果、Mgの混晶組成比がx=0.55程度まで閃亜鉛鉱構造を有するMg_xZn_<l-x>S混晶薄膜が成長できることを初めて明らかにした。また、時間分解フォトルミネッセンスの測定結果より、混晶薄膜からの発光は混晶組成の揺らぎに起因した局在励起子の輻射再結合過程が支配的であることを明らかにした。さらに、局在励起子発光線の不均一幅のMg混晶組成比依存性より、Mgの混晶組成比がx=0.2程度までは比較的良好な光学特性を示す混晶薄膜が成長できることも明らかにした。そこで、このMg_<0.2>Zn_<0.8>S混晶薄膜をクラッド層に用いてCd_<0.2>Zn_<0.8>S/ZnS/Mg_<0.2>Zn_<0.8>S分離閉じ込め構造を作製し、その光学特性を評価した。その結果、クラッド層を挿入していない量子井戸試料と比較して、Mg_<0.2>Zn_<0.8>S混晶クラッド層を挿入した場合、Cd_<0.2>Zn_<0.8>S量子井戸活性層からの室温における発光強度を2桁程度増大できることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Yoshimura: "Temperature-dependent photoluminescence study on CdZnS/ZnS/MgZnS separate-confinement heterostructures"Physica Status Solidi (a). 180. 207-211 (2000)
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[Publications] K.Yoshimura: "Epitaxial growth of Mg_xZn_<1-x>S heterostructures by low-pressure MOCVD"Journal of Crystal Growth. 221. 421-424 (2000)
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[Publications] 山田陽一: "II-VI族半導体の励起子系光物性"応用物理. 70・3. 317-321 (2001)